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不調
「親衛隊」との予期せぬ対面の翌日。
早々にあの不吉な言葉の意味を、身を持って知ることになった。
「今日は随分と大人しいな。まあ、たまには素直なのも良いが、俺は別に何時ものお前であっても嫌いになどなりはしないから安心して反抗して良いんだぞ?」
海王からそう言われてしまうくらいには抵抗の手が緩んでいた。
意図的ではない。
反抗するだけの体力が今の僕にはないのである。
理由は明快。
今朝、チップを埋めている辺りに、ピリリとした痛みを感じた。
大した痛みではなかったのであまり気にしてはいなかったのだが、それ以降急に身体が不調を訴え出したため、多分チップから毒か何かを流し混まれたのだろうと推測している。
まさかこのチップが毒を含んでいたとは流石に予想していなかった。
「親衛隊」の秩序を無闇に荒らす必要はない、など考えていた自分がバカらしい。
こんなことなら親衛隊の規律にも逆らっておけば良かったのだ。
後の祭り過ぎて笑えない。
だが、毒を流し込まれようが何だろうが、僕の取る行動は変わらない。
今まで通り抵抗出来る限り海王に抵抗するだけだ。
「別に素直になった訳ではありません。様子見です。そんなにじゃじゃ馬がお好みでしたらいくらでも跳び跳ねてあげますよ」
不調を圧し、声を張って返答した。
「ふっ。調子が戻ってきたようだな」
何時ものからかい口調とは相反して、表情は安堵したようなものであったため、何となくこれ以上言い返せなくなり、ふいっとそっぽを向いて反抗の態度を示したのだった。
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