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第6話
カサついた口唇を舌で舐めると、無理やり勇者の口をこじ開けて中に舌を入れる。
じっくり味わいたいと思っていたのに、やっと何をされているか把握した勇者が私を突き飛ばし小屋の隅まで後退りした。
「なっ……ななっ……なにをっ……」
口唇を手のひらで覆ったまま、混乱する顔が可愛くて唆る。
ああ、もっと困らせてやりたい。
「落ち着け。私の生気を分け与えただけだ」
口付けなどしなくても与えられるが、それは内緒にしておこう。
「元気になったであろう?」
「え……」
言われて、勇者は自分の手のひらを握ったり開いたりしたあと、あったはずの傷口を触って確認する。
暫く、その様子を楽しんで見ていると勇者がやっとこちらを向いた。
「あんた……何者だ?」
「こういう時はまず礼を言うべきではないか?」
礼など必要ないが勇者の困った顔が見たくて意地悪を言う。
勇者は小さく「ありがとう」と呟く。
なんと可愛い反応か。
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