4 / 160

第4話 魔法学校入学(4)

 そのおばあさんが、さっきまで聞こえてた声の主であり、校長先生だと紹介され、再び驚いてしまう。  さっきの運転手のおじいさんみたいに、典型的な魔法使いの格好をしているものだと思ってたから。  先生方の挨拶が始まった。  僕は、ようやく周囲を見回す余裕ができた。僕達、新入生を挟むように、壁際には同じ制服を着た僕らより年上と思われる人たちが、僕達を見下ろしてた。  こそこそと話をしている人もいたけれど、ほとんどの人は、ただじっと、僕達か先生方を見つめてる。  この人たちも、あのおじいさんみたいに魔法が使えるのかな。  そう思うと、すごく不思議な気分になった。  その中で、僕は、ひどく突き刺さるような視線を感じた。  それが敵意なのか、なんなのか、僕にはわからなかったけど、とても居心地の悪いもので、誰が僕を見てるのか、という好奇心には勝てずに視線の相手の方を向いてしまった。  その時の衝撃は今まで生きてきた中で、最初で最後なんじゃないか、と、思うくらいにすごかった。  僕を見つめていたのは、とても体の大きくて、光り輝くような白銀の長い髪を1つにまとめた美しい男の人だった。  深い蒼色の瞳は、何を考えているのかわからないけど、ただ僕の中の何かを探るように見つめているのだけはわかった。  周囲の音が消えて、まるで、僕とこの人しかいないみたいな錯覚を覚える。  そして、僕は何かピンにでも張り付けられたように動けなくなった。  怖いのに、どこか懐かしく感じるのはなぜだろう。  その人が、隣の人に声をかけられて、僕から視線を外した。  それと、同時に、僕は大きく息を吐き出した。  僕は、ずっと息をつめていたみたいだ。  それと、同時に、周囲の音が戻ってきた。 『それでは、クラス分けをいたします』  朗々とした校長先生の声が部屋の中を響く。  気がつけば、いつの間にか、先生たちの挨拶が終わっていた。  一人一人が名前を呼ばれては、壇上に上がり、何か紙を渡される。そして、フロアにいる三人の先生方の後ろに並んでいった。 「あ、あのおじいさんだ」  僕は、さっきの運転手のおじいさんが、三人の中の一人として立っているのを見つけてしまい、ポツリとつぶやく。  だけど、さっきみたいに穏やかそうな顔ではなく、とても……精悍な感じだった。  思わず、ジッと見つめていると、 『ノア・アシュレー』  僕の名前が呼ばれた。

ともだちにシェアしよう!