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第5話 魔法学校入学(5)
「は、はい」
僕は、緊張しすぎて、あまり大きい声で返事ができなかった。
こんなに沢山の人の前に出るのは、小学校の卒業式以来だ。
ギクシャクしながら、僕は、壇上へ向かう。変に緊張してしまって、ちゃんと足と手を動かせてたかも、わからなくなってる。
その間、なぜか、ザワザワと人々の囁きあう声が、静かだった部屋を満たした。
『アシュレー?』
『アシュレーですって?』
『マジかよ』
『あいつが?』
僕の名前が何度も呟かれ、視線が僕に集中している気がする。
そのせいで、すごく不安になる。僕は、何かしでかしてしまったのかな、と。
壇上にあがっても、顔を見られたくなくて下をむいたまま、校長先生のところへ歩いていく。
たぶん、そんな僕の思いが伝わってしまったのかもしれない。
校長先生の目の前に立ったとき、恐そうだった先生が優しく話しかけてきた。
「ノア・アシュレー、大丈夫。貴方には、おじいさまと、おばあさまがついているから」
いきなりおじいちゃんたちのことを言われて、僕は、驚いてしまう。
「お、おじいちゃんたちをご存じなのてすか?」
僕は、まじまじと見つめてしまう。
さっきまで下から見てた時は、とても怖そうなおばあさんに見えていたのに、それだけで、身近に感じてしまう。
すると、校長先生は身体を曲げて、僕の顔を覗き込んで、美しく微笑んで僕に言った。
「ええ、とても古いお友だちなのよ」
そう言うと、僕の肩に大きな手を置いた。
「さぁ、彼らのところに行きなさい。」
あのおじいさんのところを指差すと、僕の背中を軽く押した。
僕が階段を降り切ったところで、おじいさんのところに歩いていく。
「ノア・アシュレー、一番後ろに並ぶように」
さっきの優しそうな顔はどこかへ消えて、もう厳めしい顔で僕に言った。
僕は小さい声で「はい」と返事だけして、一番後ろに並んだ。
並んだあとも、ずっとたくさんの視線が僕を見ている。
さっきの美しい男の人のそれとは違う、好奇の視線だっていうのだけはわかった。
不躾な視線に、僕は拳を握りしめて、それに耐えるしかなかった。
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