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第7話 初めての友達?(1)
魔法学校に入ってわかったことが、たくさんあった。
まず、本当はここに入学するのは十歳を過ぎてからだということ。
だから僕は、一緒に入って来た子たちよりも二歳も年上だったということを知って、すごく居心地が悪かった。
さすがに二歳も違うと、なかなか簡単には、友達、という感じにはなれなかった。
そして、もっと友達になりにくくさせたのは、僕がおじいちゃんとおばあちゃんの孫だったということ。
おじいちゃん、ナレザール・アシュレーと、おばあちゃん、ソフィア・アシュレーの二人が、魔法界でも有名な大魔法使いだったということを、魔法界の歴史の授業で教えられた。
だから、『アシュレー』という名前でみんなが僕を見たわけだ。
そして、僕が見ていた世界というものが、実は本当の世界の半分にも満たなかったということを、思い知らされた。
この魔法学校に入っている子たちは、たいがいは魔法使いの家の子たちだった。
僕が住んでいたところには、そんな人たちがいる気配はなかった。
いたとしても、『魔法使いです』なんて言わないんだそうだ。
その一方で。
僕は知らなかった。
人間の他に、獣人と呼ばれる人たちが存在していることを。
「ノア、お昼は食べたか?」
お昼休みになると、レヴィとエミールの二人が教室にやってくる。
レヴィとエミールは、僕よりも三歳年上。
なぜか、入学早々、僕はこの二人に目をつけられた。
その二人が、実は獣人だというのだ。
どう見ても、普通の人間(の中でも、美しい部類に入る)にしか見えないのだけれど、レヴィたち曰く、人間界にいる時は、人間の姿をしなくてはいけない、というルールがあるそうだ。
「いえ、まだこれからです」
この一年生のクラスに姿を見せると、完全に大人みたいな存在になる二人。
獣人は、人間よりも早く成長するみたいで、十五歳のはずなのに、まるで大人みたいに身体が大きいのだ。
レヴィは、入学式の日に、僕を見つめていた人で、エミールはその従弟らしい。
「じゃあ、俺たちと一緒に食堂に行こう」
そう言って、僕を誘い出してくれる。
ただ、そのたびに、あの天使のようだったキア・ハザールが、僕たちを……いや、正確には僕を睨みつけるのだ。
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