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第11話 初めての友達?(5)
「ん?」
不思議そうに僕を見るレヴィとエミール。
僕は変なことを聞いてしまったのだろうか?
「ノアはできないの?」
レヴィのこの一言は、僕の小さな小さなプライドとも言えない心の支えのようなものを、簡単に壊してしまった。
「……っ、で、できません……」
僕は俯きながら、小さく答えた。
やっぱり、この人たちには、僕のこの"できない"ということなんて、理解できないに違いない。
このまま、この人たちの隣にいるのが痛々しくて、僕は、急いでこの場から離れたくなった。
「す、すみませんっ、僕、戻ります」
「あ、ちょっとっ」
エミールが立ち上がった僕の腕を掴んだ。
「あっ」
中途半端に持ち上げたトレーが、僕の手から落ちそうになる。
「お、おいっ」
レヴィの長い手が、僕のトレーを支えた。
「ったく、落ち着きなよ」
呆れたような声で、エミールが僕の腕を引っ張った。
「うわっ!?」
思いのほか強く引かれて、僕はエミールの胸元に倒れ込んでしまった。
「っ!?」
僕のトレーをもったレヴィが、顔を真っ赤にして僕とエミールを見てる。
そして、僕は僕で、エミールに抱きかかえられるようにされて、なぜだかドキドキしちゃってる。
なんだ、これ。
「あ、悪い、悪い。力の加減が悪かったな」
そう言いながら、僕の体勢を元に戻してくれた。
その時、チラリとレヴィのほうを見た時の意地悪な笑顔が僕の目の端に見えた。
「ほら、ちゃんと座れよ」
ポンポンと僕の頭を軽く叩くエミールに、レヴィは鋭い視線を向ける。
「エミール」
レヴィのどこか怒りを込めたような声を初めて聞いて、僕は怖くなった。
「レヴィ、ノアが怖がる」
エミールの冷静な声で、レヴィがハッとした顔で僕を見て、慌てて僕の頭に手をのせた。
「ごめんよ……怖くないからね」
まるで、エミールの撫でたあとを消毒でもしてるかのように、何度も何度も撫でてくる。
「あ、あのっ、大丈夫ですからっ」
僕はレヴィの大きな手を掴んで、ゆっくりと離した。
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