12 / 160
第12話 初めての友達?(6)
僕は居たたまれなくて、ずっと下を向いたまま。
たぶん、レヴィもエミールも呆れてるに違いない。そう思うと、余計に早くこの場から逃れたいのに、僕は身動きができないでいる。
二人からの視線が、ものすごく痛い。
「ノア……もしかして、魔法が使えなかったりする?」
レヴィの、まっすぐな質問に、壊れたプライドの欠片が僕の胸を突き刺す。
僕は膝の上に置いていた手をギュッと握りしめた。
そのことを認めるのは、本当は悔しい。
僕はおじいちゃんと、おばあちゃんの孫なのに。
認める言葉が、喉元まできてるのに、それを吐き出すことができない。
その代わりに、涙がこぼれた。
「……エミール、午後の授業、さぼるから。あとのこと、よろしく」
「……わかった」
そう言うと、レヴィは急に立ち上がると、僕を横抱きに抱きかかえた。
「ええっ!?」
レヴィの美しい顔が僕の目の前にきて、微笑んだ。
「今日はもう、一緒にさぼるぞ」
そして、何かを呟くと、一陣の風が僕たちを包み込む。
風の勢いに思い切り目をつぶり、レヴィの首にしがみついた。
「ノア」
レヴィの優しい声が耳元でする。
僕は、ハッとして目を開いた。
思い切り首を抱きしめてたから、レヴィの顔が思い切り近かった。
「わ、わ、わっ!ご、ごめんなさいっ!」
僕が慌ててレヴィの首から手を離すと、クスッと笑いながら、僕をゆっくりと地面に下した。
「もう、涙は止まったか?」
確かに、急に抱きかかえられて、魔法の力でどこかに連れてこられて、目の前で綺麗な顔で微笑まれて、と、驚きの連続のせいで、涙なんて引っ込んでしまった。
「は、はい……」
返事をしながら、ぼーっとレヴィを見上げてしまう。
こんなこと簡単に出来てしまうレヴィって……何者なんだろう?
そもそも、この人に魔法学校にいる意味があるんだろうか?
僕たちは、どこかの中庭のようなところに立っていた。
「そしたら、あそこにでも座ろうか」
そう言って、木製のベンチのほうへ、僕を誘った。
ともだちにシェアしよう!