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第12話 初めての友達?(6)

 僕は居たたまれなくて、ずっと下を向いたまま。  たぶん、レヴィもエミールも呆れてるに違いない。そう思うと、余計に早くこの場から逃れたいのに、僕は身動きができないでいる。  二人からの視線が、ものすごく痛い。 「ノア……もしかして、魔法が使えなかったりする?」  レヴィの、まっすぐな質問に、壊れたプライドの欠片が僕の胸を突き刺す。  僕は膝の上に置いていた手をギュッと握りしめた。  そのことを認めるのは、本当は悔しい。  僕はおじいちゃんと、おばあちゃんの孫なのに。  認める言葉が、喉元まできてるのに、それを吐き出すことができない。  その代わりに、涙がこぼれた。 「……エミール、午後の授業、さぼるから。あとのこと、よろしく」 「……わかった」  そう言うと、レヴィは急に立ち上がると、僕を横抱きに抱きかかえた。 「ええっ!?」  レヴィの美しい顔が僕の目の前にきて、微笑んだ。 「今日はもう、一緒にさぼるぞ」  そして、何かを呟くと、一陣の風が僕たちを包み込む。  風の勢いに思い切り目をつぶり、レヴィの首にしがみついた。 「ノア」  レヴィの優しい声が耳元でする。  僕は、ハッとして目を開いた。  思い切り首を抱きしめてたから、レヴィの顔が思い切り近かった。 「わ、わ、わっ!ご、ごめんなさいっ!」  僕が慌ててレヴィの首から手を離すと、クスッと笑いながら、僕をゆっくりと地面に下した。 「もう、涙は止まったか?」  確かに、急に抱きかかえられて、魔法の力でどこかに連れてこられて、目の前で綺麗な顔で微笑まれて、と、驚きの連続のせいで、涙なんて引っ込んでしまった。 「は、はい……」  返事をしながら、ぼーっとレヴィを見上げてしまう。  こんなこと簡単に出来てしまうレヴィって……何者なんだろう?  そもそも、この人に魔法学校にいる意味があるんだろうか?  僕たちは、どこかの中庭のようなところに立っていた。 「そしたら、あそこにでも座ろうか」  そう言って、木製のベンチのほうへ、僕を誘った。

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