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第15話 探索の旅立ち(1)
魔法学校に入学して二年が経った。
僕ももうすぐ十五歳になる。
二年経ったというのに、身長はあまり伸びず、相変わらず、魔法をうまく使いこなせないでいる。
何度かあった長いお休みのたびにおじいちゃんたちがいる家に帰りたいと思ったけれど、なぜか僕だけ帰らせてもらえなかった。
いつもみんなが帰っていく様子を見送るしかなかった。
本当ならおじいちゃんたちに、魔法のこととか、おじいちゃんたちのこととか直接話を聞きたかったのに、そういう機会は与えられなかった。
僕の方から手紙を書いたりもしたけれど、その返事をもらうことはなかった。
――僕はもう、おじいちゃんたちに捨てられたのか、と思った。
そして二年前と相変わらず、友達といえるのは、レヴィとエミールの二人だけだ。
その間に、レヴィとエミールが、実は獣人の国の王族だというのを知って、僕は、こんな人たちと『友達』とか言っていいんだろうか、と悩んでる。
王族というだけではなく、魔法使いとしても優秀で、先生方にも一目置かれた存在だった。
そんな彼らとの付き合いのおかげで、あからさまに意地悪などはされなかった。
ただ、キア・ハザールだけは変わらず僕に突っかかってくる。
そしてキア・ハザールも獣人だということを知って、すごく驚いた。
獣人の中には、人間と同じように魔力のある者と、ない者が存在し、王族や貴族の多くが魔力を持っているらしい。
そして魔力のない者は、人型を維持することができない。
だから、あのキア・ハザールも、レヴィたちと同じように獣人の国では貴族だということだ。
あの上から目線な物言いは、そういう育ちだからなのかな、とも思った。
「俺たちは狼だけど、あいつは豹だからな。」
学生寮で、レヴィとエミールの部屋で勉強を見てもらっていた時に教えてもらった。
「だから、相性が悪い。」
レヴィとエミールがクスクス笑いながら、コーヒーを飲みながら話をしている。
僕は二人のおかげで、魔法の知識はなんとか落ちこぼれずにすんでいる。
「今、獣人の生徒って、どれくらいいるんですか?」
僕は興味本位で聞いてみた。
ここは獣人の国に一番近い場所にはあるものの、人間の国に存在しているせいで、獣人の生徒は人型を維持しなければならない。
だから、僕から見たら、誰が獣人かなんて、全然わからない。
「そうだなぁ……そうは言っても、三分の一もいないだろ」
「え!?そんなにいるんですか!?」
思ったよりも多くて、びっくりした。
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