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第16話 探索の旅立ち(2)
レヴィとエミールは魔法学校では最終学年になっていた。
だから、彼らと過ごせるのは、残り一年しかなかった。
正直、二人がいなくなったら、僕はどうなってしまうのだろう、と、不安になることがある。
こんな魔法も使えない魔法使いなんて、この学校にいる意味があるんだろうかって。
そして、先生たちも、よく僕を落第させずに進級させるよな、とも思った。
「レヴィたちは、この学校を終えたら、国に戻るのですか?」
ノートを見ながら、レヴィに聞いた。
「……そうだな」
ポツリと呟くと、チラリと僕を見つめた。
「……ノアも来るか?」
「へ?」
思わず、顔をあげてレヴィを見つめた。
「僕は……まだ出られませんよ?」
そう。僕は、この学校から出られない。
僕は……ここに、捨てられたんだ。
思わず、顔が曇る。
「そうだよな……」
無表情につぶやくレヴィに、エミールが鋭い視線を向ける。
「レヴィ、変なコト考えるなよ」
「……考えてねぇよ」
ムッとしながら、エミールをみやるレヴィ。レヴィの考えていることなどお見通しだ、といわんばかりに胡乱げに見るエミール。まったく、二人はいいコンビだ。
思わずクスッと笑ってしまう。
そんな僕にすぐに気づくのは、いつもレヴィだ。
「ほら、笑ってないで、早く次の問題解けよ」
そう言ってレヴィに注意されてしまう。
「は、はいっ」
僕は慌てて問題に目を向けた。
こんな風に、レヴィたちが学校を出て行くまで、毎日を過ごしていくものだと、僕は単純に思っていた。
校長先生に急に呼び出されるまでは。
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