16 / 160

第16話 探索の旅立ち(2)

 レヴィとエミールは魔法学校では最終学年になっていた。  だから、彼らと過ごせるのは、残り一年しかなかった。  正直、二人がいなくなったら、僕はどうなってしまうのだろう、と、不安になることがある。  こんな魔法も使えない魔法使いなんて、この学校にいる意味があるんだろうかって。  そして、先生たちも、よく僕を落第させずに進級させるよな、とも思った。 「レヴィたちは、この学校を終えたら、国に戻るのですか?」  ノートを見ながら、レヴィに聞いた。 「……そうだな」  ポツリと呟くと、チラリと僕を見つめた。 「……ノアも来るか?」 「へ?」  思わず、顔をあげてレヴィを見つめた。 「僕は……まだ出られませんよ?」  そう。僕は、この学校から出られない。  僕は……ここに、捨てられたんだ。  思わず、顔が曇る。 「そうだよな……」  無表情につぶやくレヴィに、エミールが鋭い視線を向ける。 「レヴィ、変なコト考えるなよ」 「……考えてねぇよ」  ムッとしながら、エミールをみやるレヴィ。レヴィの考えていることなどお見通しだ、といわんばかりに胡乱げに見るエミール。まったく、二人はいいコンビだ。  思わずクスッと笑ってしまう。  そんな僕にすぐに気づくのは、いつもレヴィだ。 「ほら、笑ってないで、早く次の問題解けよ」  そう言ってレヴィに注意されてしまう。 「は、はいっ」  僕は慌てて問題に目を向けた。  こんな風に、レヴィたちが学校を出て行くまで、毎日を過ごしていくものだと、僕は単純に思っていた。  校長先生に急に呼び出されるまでは。

ともだちにシェアしよう!