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第18話 探索の旅立ち(4)

 校長室に入ったのは、初めてだった。  薄暗い古い本にでも囲まれたところを想像していたのだけれど、入ってみると、淡い色調のピンクで統一された、とても可愛らしい雰囲気の部屋だった。  僕と校長先生は、低いテーブルを挟んで、向かい合って座った。  目の前に座る校長先生は、大柄でいつも見せる厳めしい印象とは違って、優しい顔で僕に紅茶を差し出している。 「まずは、それをお飲みなさい。話はそれからです」  可愛らしい花柄のティーカップを口元に持っていく姿を、思わずじっと、見てしまう。 「ノア・アシュレー、紅茶が冷めますよ」  僕を見ずにそう言われて、僕は慌てて口にする。フワリと花の香りが漂う。まるでお花のお茶を飲んでるみたいだ。思わず、ティーカップの紅茶をのぞきこんでしまう。 「どう?美味しいでしょ?」 「あ、はい」 「フフフ、この紅茶は、フローラも大好きだったのよ」 「フローラ?」  聞いたことのない名前に小首をかしげる。  そんな僕を校長先生は、悲しげに見つめた。 「そう、その話もあの人たちはしてなかったのね」  そう言って立ち上がると、立派で重厚な机のほうに向かい、引き出しから一通の手紙を取り出した。 「これは、あなたが入学したと同時に、あなたのおじいさまから届いた手紙です」  低いテーブルの上に置かれた手紙の宛名には、僕の名前がかかれていた。 「この手紙には、あなた以外のものが開封したら燃えるような魔法がかけられています」  僕が手にしようとしたとき、校長先生が少し怖いような声でそう言った。  そんなことを言われると、僕宛だとわかっていても、なかなか手を出すことができない。 「大丈夫ですよ。あなた宛の手紙ですから」  そう言ってにこりと笑う。  僕は恐る恐る手に取り、封を開けた。