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第19話 探索の旅立ち(5)

 封を開けたとたん、おじいちゃんの懐かしい匂いがして、思わず、涙が浮かんできてしまった。僕はなんとかそれを押さえこんで、手紙をとりだす。  そこには、やっぱり懐かしいおじいちゃんの文字が書かれていた。 『ノア、この手紙を読んでいるのだとしたら、ターラは私たちの約束を守ってくれたのだろう。彼女に感謝の言葉を伝えてくれ』 「あの、ターラって?」  僕は校長先生に手紙を見せようとしたら、先生はいきなり顔を背けた。 「いけません!それをあなた以外のものが見ても燃えてしまうかもしれません!」 「え?」  僕は慌てて手紙を抱きしめた。そんな厳重に魔法をかけてるのか?と、思うと、この手紙が恐ろしくなってきた。 「ターラとは、私の子供の頃の愛称のことです」  そう言う校長先生の横顔は、とても嬉しそうな顔をしていた。僕は続けて手紙を読んだ。 『そして、同時に、お前を迎えに行けていないということだろう』  えっ!?それは……。  僕は慌てて先を読んだ。 『私たちは、これから、お前の母親のフローラを探す旅に出る。本当なら、お前をともに連れていきたかったが、まだ幼く、世の中のことを知らないお前を連れていくのは忍びなかった。  本来なら十才で魔法学校には行かせるべきだったのかもしれないが、お前には魔法の片鱗が見られず、このまま、普通の子として成長させてやるべきかもしれない、とも考えていた。  しかし、フローラの探索を始めるにあたり、私たちの親友でもあり、魔法学校の校長でもあるターラにお前を託すことにした』  チラッと校長先生のほうを見るけれど、僕とは目線を合わせようとしない。僕はそのまま読みつづけることにした。 『二か月ほど前に、フローラの消息らしきものを伝え聞いた。これから私たちは、フローラの痕跡を見つけた最後の場所に向かうことにする。そらこから、彼女の探索を進めるつもりだ。  二年後にお前を迎えに行けなかった時に、この手紙を渡すようにターラにお願いをしてある。  だからといって、お前は私たちを探すようなことなど考えるな。私たちは、お前が幸せであってくれればいい。  ただ、くれぐれも、獣人などには、心を許さないように。お前の母親は、獣人に騙されたのだから』  おじいちゃんの手紙を最後まで読んで、僕は愕然とした。  獣人を信じてはいけない、と、いうの?僕のことを友達として大事にしてくれてる、レヴィやエミールも?  僕はおじいちゃんの手紙から目を離せなくなっていた。