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第20話 探索の旅立ち(6)

「おじいさまは、なんと?」 「僕の母を探しに行くと……フローラって、僕の母の名前だったんですね」 「ええ。フローラも私の大事な教え子の一人でしたから」  校長先生が、もう冷えてしまった紅茶を飲み干した。  それを見て、僕も残っていた紅茶を飲む。後味が少し苦い気がしたのは、冷えてしまったせいだろうか。 「彼らはどこへ向かうと、書いてありましたか?」  僕に視線を合わせずに、空になったティーカップを見つめながら校長先生が聞いてきた。 「えと、母の痕跡を見つけた最後のところへ向かうとだけ……」 「そう……本当に、あの人たちは言葉が足りないのだから……ということは、あそこに行ってから……」  難しい顔をしながら、しばらく無言になる校長先生。 「あ、あの、校長先生は、母のことをご存じなのですか?」  僕が、おずおずと聞くと、校長先生は、とても優しそうな顔を浮かべながら、ゆっくりと話し出した。 「え、ええ、私の教師人生の中で、一番の……教え子……でしたよ……」  あ……あれ?先生の声が変だ。 「せ、先生……なんか、変です……」  いや、変なのは僕?身体に力が入らなくなって……眠気が…… 「せ……んせ……い」  僕は、真っ暗な世界に落ちていった。