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第29話 探索の旅立ち(15)

「その中に、普通に使える携帯電話と、連絡用の使い魔のカプセルのセットが入っています。魔法が使えないあなたには携帯電話のほうがいいかもしれませんが、万が一ということもありますので……使い魔は、大丈夫ですよね?」  まさか、それもダメなのか?と、言っている眼差しに、僕は恥ずかしくて目を背けてしまう。 「あ、あんまり知能の高い子は……言うことを聞いてくれないです……」 「はぁ……」  フルブライトさんのため息が車の中に響く。 「……一応、各ランクごとの使い魔が入ってますから、うまく使ってください、としか言えませんね。」  リュックの中をのぞきこもうとして、ふと思った。 「な、なんでおじいちゃんたちのことを魔法省が探してるんですか?そ、それに、なんで僕なんですか?」 「は?」  あんなふうに眉間にシワを寄せられたら、 何を今さら、そう思ってるのが、すぐにわかる。 「だ、だって、僕みたいなのより、もっと、こう、人探しに向いている人だっているでしょう?た、探偵みたいなのとか」 「……あの人たちが、魔法使いだというのを忘れていませんか」 「……」 「一般的な探偵みたいなので探せるような人たちじゃないんです。それに……魔法省のほうでも、すでに手はうっています。あなたは、それがダメだった場合の、隠し玉のようなものです。可能性のある方法は、すべてやるつもりです」  フルブライトさんの瞳に青白い炎のようなものが見えた気がする。僕は背筋に寒気が走った。 「さぁ、さっさと行ってください。私も忙しい身なんですよ」  そう言うと、自動で車のドアが開いた。  僕は子犬の入った箱を胸に、空いている手でリュックをズルズルと引っ張ると、車から降りた。夕日がもう地平線に隠れようとしているのを目で確認すると、フルブライトにもう一度声をかけようとしたら。 「……え?」  目の前にあったはずの車は、忽然と消えていた。僕は、キョロキョロと周囲を見回して愕然とした。 「ええ?ここで僕一人?」  見渡した限り、人家らしきものも見えない。  僕は、途方に暮れた。

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