41 / 160

第41話 足跡を辿れ(12)

 俺たちは、その場でハウンド先生と別れ、森の中を歩き始めた。  歩いてすぐのところで、ノアの匂いが道から外れていったのがわかった。無言でその匂いの後を追うと、ちょっと開けた場所に着いた。大きな枯れ木の周りをノアの匂いが残っている。 「ここに来たのは確かだな。それに……」  エリィが厳しそうな顔で、その枯れ木を睨みつける。 「ええ、これには魔法がかけられてますね。それに、それを確認しに……誰か来ましたね」 「ああ……これはネコ系だな……」  ネコの臭いを感じ取り、思わず眉間にシワがよる。 「でも、ノアのとは重なってません。まだ、追いつかれていないのか。臭いの強さだけじゃ、なんとも言えませんね」  俺たちは再び道に戻ると、そのまま道なりに歩いていく。途中から、ノアのものとネコのものが重なった。 「追いつかれたか」  俺たちは歩みを早める。  ノアの匂いはそのまま道なりに続いている。森の先に光が見え、そのまま一気に駆け抜ける。少し行ったところに古い小屋が見えた。 「レヴィ、あの家」  エミールが小屋からの煙を見て、誰かが住んでいるのがわかる。そして、ノアの匂いもその家に入って……出て行った?……しかし。 「ここから先にノアの匂いが……消えた……いや、何かの匂いで誤魔化されてる」  俺たちは三人は顔を見合わせ頷くと、小屋のほうへ足を向けた。  小屋の窓のカーテンが揺れた。誰かがいるのはわかってる。そのまま、ドアをノックする。 『……どなた』  女の声が返事をした。 「すみません、ちょっとお伺いしたいことがあるんですが」  エミールがドア越しに声をかける。 『……何?』  ドアは開かれない。仕方がなく、そのままエミールが男の子が来なかったか質問をした。 『……知らないね』  俺たち三人は再び顔を見合わせる。こんなにノアの匂いが残ってるのに、否定するなんて、怪しいことこの上ない。 「嘘をつくな」  俺の怒りが滲み出る声。しかし、ドアの向こうからは反応がない。 「俺たち相手に嘘をつくなどと……身の程を知れっ!」  俺は思い切りドアを蹴飛ばした。その一蹴りで、木製のドアは完全に大破し、床の上に倒れた。 「……あーぁ……お前、やりすぎだろ」  エミールは呆れながらも、俺よりも先にさっさと中に入って行く。 「まぁ、レヴィの怒りがこの程度で済んでるのを感謝すべきですね」  続いてエリィが入っていく。  そして俺が入った時、濃厚なノアの匂いをかぎとり、確実にノアがいたと確信した。

ともだちにシェアしよう!