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第41話 足跡を辿れ(12)
俺たちは、その場でハウンド先生と別れ、森の中を歩き始めた。
歩いてすぐのところで、ノアの匂いが道から外れていったのがわかった。無言でその匂いの後を追うと、ちょっと開けた場所に着いた。大きな枯れ木の周りをノアの匂いが残っている。
「ここに来たのは確かだな。それに……」
エリィが厳しそうな顔で、その枯れ木を睨みつける。
「ええ、これには魔法がかけられてますね。それに、それを確認しに……誰か来ましたね」
「ああ……これはネコ系だな……」
ネコの臭いを感じ取り、思わず眉間にシワがよる。
「でも、ノアのとは重なってません。まだ、追いつかれていないのか。臭いの強さだけじゃ、なんとも言えませんね」
俺たちは再び道に戻ると、そのまま道なりに歩いていく。途中から、ノアのものとネコのものが重なった。
「追いつかれたか」
俺たちは歩みを早める。
ノアの匂いはそのまま道なりに続いている。森の先に光が見え、そのまま一気に駆け抜ける。少し行ったところに古い小屋が見えた。
「レヴィ、あの家」
エミールが小屋からの煙を見て、誰かが住んでいるのがわかる。そして、ノアの匂いもその家に入って……出て行った?……しかし。
「ここから先にノアの匂いが……消えた……いや、何かの匂いで誤魔化されてる」
俺たちは三人は顔を見合わせ頷くと、小屋のほうへ足を向けた。
小屋の窓のカーテンが揺れた。誰かがいるのはわかってる。そのまま、ドアをノックする。
『……どなた』
女の声が返事をした。
「すみません、ちょっとお伺いしたいことがあるんですが」
エミールがドア越しに声をかける。
『……何?』
ドアは開かれない。仕方がなく、そのままエミールが男の子が来なかったか質問をした。
『……知らないね』
俺たち三人は再び顔を見合わせる。こんなにノアの匂いが残ってるのに、否定するなんて、怪しいことこの上ない。
「嘘をつくな」
俺の怒りが滲み出る声。しかし、ドアの向こうからは反応がない。
「俺たち相手に嘘をつくなどと……身の程を知れっ!」
俺は思い切りドアを蹴飛ばした。その一蹴りで、木製のドアは完全に大破し、床の上に倒れた。
「……あーぁ……お前、やりすぎだろ」
エミールは呆れながらも、俺よりも先にさっさと中に入って行く。
「まぁ、レヴィの怒りがこの程度で済んでるのを感謝すべきですね」
続いてエリィが入っていく。
そして俺が入った時、濃厚なノアの匂いをかぎとり、確実にノアがいたと確信した。
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