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第44話 足跡を辿れ(15)
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ポップンとどれくらい歩き続けたのか。
なかなか道の先に人家らしいモノは見当たらず、延々と刈り取られた畑ばかりが広がっている。一本道なのに、車も歩く人すらもなくて、僕とポップンだけがこの世界にいるような錯覚すら起こしそうになる。
「ポップン、そろそろお昼にしようか」
日差しがあるおかげで少し暑くなっていた僕は、革のジャケットを脱いで、手に抱えこんでいた。道端であるものの、ポップンといっしょに座り込んで、リュックの奥のほうに入れていたパンを取り出した。
「ちょっと固くなっちゃってるけど、ごめんね」
パンをちぎりながら、僕はポップンと、パンを一個を食べきった。ペットボトルの水も半分ほどを残して、その代わりに茶トラのおばさんがくれた果物を口にした。
僕はこれから向かう道のほうをジッと見つめる。
「このまま真っ直ぐ向かっていいのかな」
ポツリと呟く僕をジッと見つめるポップン。
すると、急にポップンの耳がピクリと動いた。ふいに、もと来た道のほうを向くと低く唸り声をあげだした。
「どうした?」
その様子に、とても不安を感じ始めた。何か悪いモノでも近寄ってきてるのか。果物を急いで食べ終えると、ポップンに声をかける。
「ポップン、行こうか」
僕は立ち上がると、後ろを気にしながらも、村へ向かう道を足早に歩いた。
しばらく行くとようやく視野のなかに、民家の影が見え始め、徐々に村の入り口が見え出した。村の道は大通りは舗装されてるけど、脇道は舗装されてない道の方が多かった。
その頃には日が傾き始め、秋の夕闇の気配が思ったよりも早くにやってきていた。時間帯のせいか、人通りはなくなっていて、その代わり、家々から食事の用意をしているのか、美味しそうな匂いが漂っていた。
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