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第65話 襲撃者(4)

 それでも、僕は思う。結婚とか、そういうのは好きな相手としたいって。  ……ちょっと性別のことは、また別の話だと思うけれど。 「大切に思っていただくのは、嬉しいです。でも、それは、『決められた許嫁』だからじゃないのですか?僕は少なくとも、そんなことに縛られずに、好きな人と結婚したほうがいいと思うのですが。その、『許嫁』になんか縛られる必要はないと思うんですが……」  僕が向けた言葉は、レヴィを傷つけるものだったのだろうか。先ほどまでの優しい眼差しが、暗く悲しげなものに変わり、静かに答える。 「そんなことはない。俺は、ノアのことが好きだよ」  その言葉にドキッとするけれど、頭の中ですぐさま、それは違う『好き』なんじゃないか、という言葉が浮かぶ。そして僕は、必死に頭に浮かんでた否定要素を口にする。 「でも、 『従弟で許嫁』ってだけで僕のことを探してくれてたんでしょ?そうやって、ずっと探してたら思い込んでしまうんじゃないですか?その……す、好きだとかって」 「ノア、俺のこと嫌い?」  レヴィが、再び僕の瞳を覗き込み、僕の両腕を大きな手で掴む。蒼い瞳に飲み込まれそうで、僕は一瞬身体が震えた。 「……嫌いじゃありませんけど」  そう。嫌いじゃない。この人のことを嫌いになれない。誰もが惹かれる人なのだから。  一方、僕のその一言でレヴィの瞳に力が戻った気がした。 「俺がお前を許嫁にしたのは、誰かに言われたからじゃない。俺がお前を選んで、お前が俺を選んだからだ」  僕が選んだ?その言葉に、驚きと共に体が固まった。

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