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第101話 奪還(2)

 レヴィのお皿にも同じようなパンケーキはのっているけれど、そこにはバターはあっても、ベリーもクリームものっていない。そして大きなソーセージとスクランブルエッグが山盛りにのっている。獣人だから、とか、関係なく、男だったら、あれくらい食べられたほうがいいんだろうか。パンケーキを食べながら、悶々と考え込んでいると、不意にレヴィの太い指先が僕の口ともに触れた。 「な、何っ!?」  慌てて見ると、レヴィの指先にクリームが少しのっていて、それをペロリと舐めていた。 「クリームついてたから。やっぱ、甘いな」  一瞬、眉間に皺をよせた顔に、僕はドキリとしてしまう。  ドキリって、なんだよ。ドキリって。僕はすぐに顔を俯かせて、パンケーキを一生懸命に頬張った。 「ノアくん」  もう食べ終わっていたエリィさんが、コーヒーを飲みながら声をかけてきた。僕は、パンケーキを頬張りながら、顔を向ける。 「こうしておじいさんとおばあさんに会えたのだし、一度、魔法省のほうに連絡を入れてみたらどうかな」  そう言われて、僕はハッとした。当初の目的だった、おじいちゃんとおばあちゃんに会えたのだ。フルブライトさんには連絡しないといけない。僕はまだ中途半端に残っているパンケーキをそのままに立ち上がろうとした。 「こら。ちゃんと食べ終わってからにしなさい」  おじいちゃんがジロッと僕を睨みつける。本当には怒ってないって、僕にはわかってるけど、でもその迫力ある視線に、大人しく椅子に座りなおした。 「慌てなくていいから」  ミルクたっぷりのカフェオレの入ったカップを置いたおばちゃん。 「連絡だったら、おじいちゃんのほうからしておくから、大丈夫よ。ね?あなた?」 「ああ、その上、一言言ってやらないとな」  静かにそう言ってるけれど、さっき僕に向けたのとは桁違いに、怒りのオーラのようなものがおじいちゃんの周りに溢れているような気がする。 「そうね。ちょっとばかり、お灸をすえてさしあげて」  すました顔で紅茶を飲んでいるおばあちゃんも、おじいちゃんに負けず劣らず、なんだか怖い。そんな二人の姿にレヴィたちも驚きつつも、顔を引きつらせていた。

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