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第110話 奪還(11)

振り向いてみれば、おじいちゃんが困惑した顔で立っている。 「本当に、お前たちは、そういう……関係なのか?」  そういう、って言う言葉に、僕のほうは一瞬、頭を傾げる。 「いや、だから婚約者って言ってたから、もう……なんだ、その……」 「ヤったかどうか、ということなら、まだ、ヤッてないぞ」  レヴィの言葉に、おじいちゃんは真っ赤になる。 「そ、そういうことは、もう少しオブラートに包んでだな」 「ヤるって?」  僕は不思議に思いながらレヴィの顔を見つめた。レヴィは、僕の反応に、大きくため息をつく。 「な、わかっただろ。ノアは、この調子だから、まだ手も出してないから、安心しろ」 「う、うむ。まぁ、なんだ、私も頭ごなしに反対するわけじゃない……だがな」 「ねぇ、何をヤるの?」  僕の質問を無視して、二人で話をし始めたので、僕はレヴィの耳元にこっそりともう一度囁いた。 「こら、ノア、煽るな」  大きな耳をパタパタさせながら、俺を睨むレヴィ。だけど、なぜだろう。全然、怖くない。むしろ……カワイイ。無意識に耳に手をやって撫でてしまう。 「おいっ、いい加減にしないと、落とすぞ」  そう脅してるのに、僕はワクワクしてしまう。だってレヴィが照れているのがわかるのだもの。 「落とさないよ。レヴィは」  そして、ギュウッと首に抱き着いた。ああ、レヴィの匂いは、安心する。 「あー、なんだ、もう、早いところ風呂にでも入って休め。疲れてるだろ。ノアも、いい加減、離れてやりなさい」 「あ!ごめんなさいっ」  おじいちゃんの言葉で、そういえばレヴィは一晩中大変だったに違いない、というのを思い出した。だから、腕の中から抜け出そうとしたのだけれど。 「じいさん、もう少し、ノアを堪能させてくれ。一仕事してきたんだから」    レヴィはそう言うと、僕を抱えなおしてしまって、下ろさせてくれない。 「くっ、……あとちょっとだけだぞ。ノアも、レヴィのことを考えたら、休ませてやれ」 「は、はい」  不機嫌そうなおじいちゃんはレヴィの休める部屋のドアを指さすと、さっさと奥の鏡のあった部屋に戻っていく。レヴィはレヴィで、僕を抱えたまま、小さく呪文を唱えた。おじいちゃんに言われた部屋のドアが静かに開く。 「ノアはここで少し寝ていろ。俺は風呂にいってくるから」 「うん……」  実はレヴィの腕の中にいる間、僕は眠気と戦っていた。だけど、レヴィのその言葉で、僕はあっさり降参してしまった。だって、レヴィがちゃんと帰ってきてくれたのだもの。その安心は、僕をすぐに夢の世界へと誘っていった。

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