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第113話 奪還(14)

 四人でこの後どう行動するか話し合っていると、エリィの携帯電話が鳴った。画面に表示された名前を見て、少し顔が強張る。 「……ヤオルです。私の魔法学校時代の友人です。いいですか?」  ナレザールに断りをいれると、小さく頷き返す。 「どうした」  低い声でエリィが電話に出ると、ヤオルが何か答えているらしい。その内容は、エリィの顔つきから、いい話のように思われた。なぜなら、徐々に意地の悪い笑顔になってきているから。 「サンキュー。助かったよ」  ニヤニヤしながら電話を切る。 「ヤオルがやってくれましたよ」 「何?」  レヴィたちが困惑気味に問いかける。 「この前、ノアを襲った黒豹、覚えているか?あれを助けに来たヤツ、俺に挑戦するように跡を残していったんだが、そいつはヤオルとの因縁があってね。それを伝えておいたら、ヤオルのほうが上手い具合に、そいつ、捕獲したらしい」 「知り合いだったのか」 「ナレザール様、ご存じですか。マフ一族を。」  その名前を聞いて、一瞬、困ったような顔になる。あまりいい思い出がないのだろう。 「我々を捉えようとした魔法使いの一族だろう。逃げるのに、少しばかり苦労した。」  エリィは小さく頷く。 「現当主も魔法の能力に長けているので、あまり、魔法使いを抱えていないようです。マフ一族の魔法使いといっても、ヤオルに捕らえられた奴が一番強いでしょう。むしろ戦闘能力の高い獣人のほうが多いそうで、残っていても、かなり低級な魔法使いしか残っていないと思われます」 「どうやって、その情報を?」  レヴィが不思議そうにエリィに問いかけると、再び悪そうな笑顔で見返してくる。 「……わかった。聞かない」 「うん、それが正解だ」   エリィの張り付いた笑顔に、レヴィたちは寒気を覚えた。

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