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第125話 目覚める白金(7)

 バラのいい香りに包まれながら、僕は気持ちのいい朝を迎えた。  最初、エリィさんの寝室に入った時、部屋に充満する甘いバラの匂いに驚いた。けして噎せ返るような匂いではなく、柔らかい匂いに、つい笑みが零れるような、そんな匂い。  サイドテーブルには、その匂いのもとの、薄いピンクの可愛らしいバラが生けられていた。エリィさんが帰ってくるのを待っていたかのようなバラに、僕たちでごめんなさい、と少しだけ申し訳なくなった。  エリィさんのベッドはかなり広くて、僕とレヴィ、二人で一緒に寝ても十分なくらい。逆に、ここで一人で寝るのは寂しいんじゃないか、と思う。僕たちは、やはりだいぶ疲れていたのだろう。ベッドに入ったら、あっという間に眠りに落ちていた。  レヴィに抱きしめられながら眠ったおかげで、僕はいつになく十分な睡眠がとれた気がする。目をゆっくりと開くと、一瞬、ドキッとして声を上げそうになる。だって、目の前にいるのは、エリィさんの顔をしたレヴィなのだもの。レヴィは瞼を閉じたまま、寝息をかすかにさせながら眠っている。  まだ身体の方が完全じゃないレヴィ。僕はそのままゆっくりと彼の腕の中から抜け出ようと身体を回転して背中をレヴィのほうに向ける。そこから下に抜け出ようとするけれど、彼の腕の重さが僕を逃がしてくれない。下手にもがくとレヴィが起きちゃうし。どうしようか、と溜息をついて、悶々と悩んでいると、クスクスと笑う声が頭の上から聞こえてきた。 「……もしかして、起きてた?」  僕は、ちょっとだけムッとしながらレヴィの腕の中から見上げる。 「フフフ」  笑いながら僕をギュッと抱きしめてくるレヴィ。僕は素直に彼の腕の中に留まる。だけど。 「あ、あの。レヴィ?」 「ん?」 「……ちょっと、当たってます」  僕のお尻のあたりに、固いものがしっかりと。 「当ててるんだけど」  そう言いながら、僕の項をペロリと舐めあげる。 「ひっ!?」  その感触に、ゾワリと背中を這い上がるものを感じて、僕は思わず、声をあげてしまう。 「本当は、ここで抱いてしまいたいんだけど……さすがにまだ本調子ではないし、第一、エリィに悪いからな」  ニヤリと笑うレヴィ。エリィさんは、こんな悪そうな顔しないだろうな、と思う。  僕は僕で、レヴィのその言葉に、真っ赤になってしまう。だ、抱くって。僕を、ですか?その思いは言葉に出せなくて、両手で自分の顔を手で隠した。確かに婚約者だということだし、半獣人は妊娠できるっていうけれど。自分の身体のことなのに、よくわからない。  そんな僕のことを労わるように、レヴィが僕の髪を指先で梳きながら、優しく語り掛ける。

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