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第155話 帰還(4)
僕はレヴィの物言いに驚いて、思わず顔を見上げると、レヴィは僕ではなく国王様を睨みつけている。僕は急いで立ち上がろうとして、国王様のほうを見ようとしたら、なんと国王様は玉座から慌てて僕の方に駆け寄って来た。
「ああ、ノア……すまんな」
そう優しく言いながら、僕のほうに手を伸ばしてきた。その手をレヴィがピシッと払いのける。
「レヴィッ!?」
僕は驚いて声をあげると、レヴィはムッとした顔をしていて、その一方で国王様はニヤニヤしながら、自分の息子を見ている。こうやって二人が並ぶと、本当にそっくり。背丈も同じなら、目の色も毛並の色も同じ。ただ国王様のほうが、少し年老いていて、立派なローブと王冠を被っているだけの違い。
国王様は僕のほうに向くと、少し膝を落として僕の顔を覗き込んだ。
「よくぞ、帰ってきたな」
そして、僕の頭を大きな手で優しく撫でた。その時僕は、この人の手の感触を思い出した。今よりも大きくて力強くて、温かい手だったことを。
自然と僕の瞳から涙が零れ落ちていく。そして僕は国王様に強く抱きしめられていた。その腕の中で、僕は、きっと父様もこんな風に抱きしめてくれたに違いない、と胸苦しい思いをしながらしがみついてしまった。そんな僕に、国王様はただ優しく、宥めるように背中を撫でてくれた。
しばらくして、レヴィの「ゴホンッ」というわざとらしい咳で、自分の状況に気付いた僕。
「す、すみませんっ」
「いいや、気にしなくていい」
国王様の腕の中から抜け出そうとしたんだけど、逆に強く抱きしめられてしまう。
「もういいだろ、おっさん」
不機嫌そうに言うと、レヴィが僕を引き離してくれた。
「なんだ、息子よ。久しぶりに会った甥っ子を抱きしめて何が悪いんだ」
「甥っ子もだけど、フローラが目覚めた」
レヴィのその言葉に、国王様は驚きで身体が固まってしまった。
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