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第29話

「はっ………っぁ」  肩で息をする俺をリカちゃんは黙ったまま見つめる。 「お前……よくそんなの飲めるな。俺、絶対無理」  男のそれを口に咥えるのも抵抗あるけれど、吐き出されたモノを飲み干すなんて考えられない。そう言った俺に、リカちゃんはふっと笑って答えた。 「お前のは大丈夫だと思ったから」    何の経験も無い俺にだってわかる巧みな舌の動きだ。今の言葉だって何度も使ってきたはずだ、と思った。ジッと睨みつける俺に、リカちゃんが苦笑する。 「本当だって。誰がペニスなんて舐めるか」 「その割には慣れてたみたいだけど」 「どこが弱いかは男なら大体わかる。特にお前は敏感でわかりやすいし」  敏感だと言われたそこを指で弾かれ、油断していた俺は喉を鳴らした。  いつの間にかズボンだけじゃなく下着まで脱げ落ちている。下半身は何も着ていない俺と違い、リカちゃんは全くと言っていいほど乱れがない。  2人の違いが悔しくて、なんだか少し淋しくて、起き上がった俺はリカちゃんの服に手を伸ばす。  何か言ってくると思ったのに、意外にもリカちゃんは何も言わず素直に従ってくれる。  脱いだ服の下、初めて見るリカちゃんの素肌が露わになった。  俺とは違う逞しい男の身体。細いのに薄っすらついた筋肉にくっきり浮かぶ鎖骨。  むせ返るほどの色気ってこういうのだと思った。  いつもは服に隠され抑え込まれていたモノが目の前にある。それだけで心臓が跳ねる。 「なぁ。お前これが何を意味すんのかわかってんの?」  俺をジッと見つめる瞳は真剣そのもので、刺すように鋭く言い逃れなんてさせてくれそうにない。  リカちゃんは今ならまだ逃がしてくれる。  キスの延長線上にあった事だって理由も付けられる。  それがわかっていても目の前にある素肌に自然と手は伸びた。  触れた硬い肌を確かめるように撫で、背中に腕を回す。 「教えてくれるんだろ。全部……欲しい。リカちゃんが欲しい」 「煽ってんじゃねぇよ、クソウサギ」  再び押し倒された俺にリカちゃんが噛み付くようにキスをした。でも潜りこんできた舌は優しく、甘く蕩ける。  さっきまでの探るような、それでいてどこか躊躇うような触り方とは全く違う手付き。明らかに快感を植え付けていく手の動きに俺は簡単に翻弄される。 「あぁっ、ん……んっ」  すっかり萎えていたはずの性器も、リカちゃんの手で数回扱かれればまた硬さを取り戻した。さっき全部出し切ったはずなのに、とめどなく湧いてくる先走りを指で掬い、そのまま後ろへと滑らせていく。  自分でも触れることのない場所。誰にも見せたことのない秘密の場所へと。  後孔の周りをクルクルと撫で回して…………その中心に指先を押し当てる。 「な、どこ触って……!」 「慣らさないと挿れらんねぇから」  挿れる……何をって、腰に当たってるリカちゃんのをだろう。  俺の中にリカちゃんが入ってくる様子を想像してしまい、身体に力が入る。 「慣らそうとしてんのに締めてどうする。エロウサギ」 「やだ!無理!!そんなの絶対に入らない!!!!」  腰が引けた俺を見て「任せろ」と自信たっぷりに返してきたリカちゃんが後孔の周りを撫でていた指を咥える。  チラリと見える赤い舌がエロくて、どうしてだか今すぐ欲しくなった俺もそこへ舌を寄せてしまう。  喉の奥で笑ったリカちゃんが俺のうなじを撫でた。  2人でリカちゃんの指を舐めながら次第にキスが深まっていく。たっぷり濡れた指は思ったより楽に、それでいてかなりの存在感で俺の中に入ってきた。 「くっ…ン」  ググッと突き立てられる指。中にあるリカちゃんの長い指。  穴を広げるように回され、時々出て行きかけて、また奥へと入ってくる。  数回それを繰り返した指が今度は2本に増やされる。 「ぁ、ぁっ…っは……ん」  突き立てられた2本の指がバラバラに動き、グチュグチュと音を立てた。遠慮がちだった動きが、今では暴れるように俺の中を掻き乱す。 「ぅぁ…あぁっ……んっ、アッ」 「わかる?もう3本咥えこんでる」  今の俺がわかるのは、自分の身体の奥で何かが動き回ってるって事だけだ。  さっきまで指の先すら入らなかったのに…そんなところに入れるなんて絶対に痛いって逃げようとしていたのに、、、 「ふぁっ……アッ!リカちゃん……っ、リカちゃん……アァッ」  すっげぇ気持ちいい。少し痛いし、苦しい…けれど気持ちいい。 「ぁン、ぁぁっ、ぁっ」  声がひっきりなしに漏れて、けれどそんなのどうでもいい。  我慢するなんて選択肢はもはや無かった。 「あああッ!!!」  一際大きな声を上げてしまえば、リカちゃんがまた意地悪く笑う。  後ろを攻めたてていた指が少し膨らんだ1点を摩り、強く押し撫でられれば目の前がチカチカと白く霞むように弾けた。  そこを重点的に攻められて足が自然と上がっていく。 「あッ!ああぁっ!!」 「お前本当に才能ありまくり。上手に咥えこんで噛み切られそう」  リカちゃんが中の指を動かしながら舌舐めずりをする。それに文句を言いたくても、俺から出るのは甲高い喘ぎ声だけだった。  何度も何度も同じ場所を刺激され、ビクビクと腰が踊る。 「ああッ、なッ、で、出るっ!!!」  急激にこみ上げる射精感。  前を一切触られることなく、よく知るあの感覚が俺を襲う。 「初めてでイケるなんて……この淫乱」    からかいと共に中の弱いところを擦られ、目の前が白く染まった。 「んっ……は、あぁぁっ!!!」  尻に指を突っ込まれ掻き回された。  初めて受けたその刺激で俺は盛大に果てた。

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