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第30話

 吐き出した後の脱力感に酔いしれる中、そっと指を抜いたリカちゃんが軽く俺にキスをする。 「あのさ」  少しだけ言いづらそうに俺から目をそらして言葉を続けた。 「悪いんだけど……ゴム持って来てないんだよ」 「……え」 「まさかこのタイミングでヤると思ってなくて。どうしたい?」  どうしたいって聞かれても困る。正直、身体はまだ疼いてるからだ。  すっきりした性器と違い、さっきまで散々弄られていた穴の奥がもっと求めるように期待してる。指では届かなかった奥が何かを訴えるかのように熱く火照っていて、それはきっと俺じゃ収められないのは明らかだった。  理性と欲望の中で、どちらを選ぶか悩むことなく俺は答える。 「……そのままでいい」  きっとこれはリカちゃんの作戦だ。俺から強請って、求めてるのを狙ってるんだって気づいてるくせに何も知らないフリをする。 「付けなくていいから早く欲しい」  そのままを求めた俺に、リカちゃんは緩く笑った。 「取りに行けって言わないんだ?」 「いいから……っ早くしろよ」  俺は腕で顔を隠し、言い捨てた。リカちゃんが身じろぐのを感じながら俺はその時を待つ。   「いい子にはご褒美やるよ」  十分に解されたそこに当たる温もりはリカちゃんの体温だろう。これが甘いだけの行為じゃなく、仕組まれた結末だとわかっていても俺は強請る。 「……リカちゃん、早く来て」  だって、どうしようもないぐらいリカちゃんが欲しくて仕方ないんだ。 「力抜いて。痛かったら肩でも背中でも爪立てていいから」 「……噛むかも」 「お前になら噛まれてもいいよ」  どうしてこの男は…こうも簡単に俺を捉えて離さないんだろう。  優しくして意地悪くして、でもまた優しくされると全部忘れそうになる。 「挿れるぞ」 「……ッつぁ、はっ…つぅ!」  リカちゃん先生に魅入られたら逃げる事は出来ない。 「つぅ……んんっ、ぁ…あ、まだ?もう無理……」 「待って……っ、ほら全部入った」  やっと1つに繋がることができて思うことは『嬉しい』だった。    1週間前は顔すら思い出せなかった。  3日前は鬱陶しくて消えろと思っていた……そして今。 「すげぇ…ハッ、…気持ちいいよ、慧」  俺を見下ろし、熱い吐息を零す姿が苦しくなるほど……好きだ。 「ぁッん、ぁ、ぁ、あぅッ!!!」  ズチッだかグチュだか何とも表せない音が聞こえる。後は俺の喘ぎ声。  そして、もう1つ。何よりも頭の中に直接響いてくる特別なものがある。 「ハッ、…ッ…慧、慧」  それはリカちゃんの吐息と俺を呼ぶ声だ。 『慧』と俺の名前を何度も呼んで、何度も何度もキスをくれる。  突き上げられる快感についていくのに必死な俺はそのキスに応えられないけれど、それでもリカちゃんは口づけるのをやめない。  唇で、身体で、身体の奥で……全てがリカちゃんで一杯になった。 「リカ、ちゃ……ぁ、ぁ…気持ちっ、い……いいっ」 「慧…慧…」 「あぁッ、ゃ、だめっ…も、やだ…やだ」  俺はもう何度もイッてるのに、リカちゃんは1度もイかない。  ガンガン動いて、たまに緩めたと思ったら耐えるように眉を顰めて再びまた動き出す。  挿れられてからどれだけ時間が経ったかもわからなくなって、もう何度も訪れた絶頂がまたやってくる。 「ッ…、リカちゃ、また、また……イッちゃ、」 「はっ……っ、俺も。慧の中…気持ちよすぎ」  限界が近いのかリカちゃんの動きが速くなる。打ち付けるように強く、激しく、奥の奥まで入り込んでくる。  心と体の両方がリカちゃんで満たされていく気がした。 「あ、やだ……やだやだ、イ……あぁっ!!!!」 「……慧、っく」  俺が果てた数秒後、グンと膨らんだかと思ったらジワリと広がる感覚。  しみ込むようなあたたかさに、リカちゃんが俺の中に出してくれたのがわかった。  間近で見るリカちゃんのイキ顔はとてもとても綺麗で、それでいて色っぽくて、キュッと中がまた締まるのを感じた。

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