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第7話
二週間繰り返した事で感覚が麻痺したところへ次なる要求を落とす。
「後ろのある部分を刺激すると、勃起すると書物にあったのですが、試してもらってもよいでしょうか?」
他人の、しかも男の尻を弄るなど騎士としてのプライドが許さないのか、ダルクは眉間に皺を寄せ無言となった。
流石にまだその時ではなかったかと、逸る気持ちを抑える。
「無理なようでしたら他の……」
やり方で――と、続けるより早く前にダルクは私の両肩を掴んだ。
「他の人間になど頼る必要はない。これは俺がすべき事だ」
真面目なダルクの恐いほどの真剣な眼差しに面食らい、黙っているとダルクは慌てて私の肩を放した。
「恐がらせてすまない」
「…いえ」
「他の人間など頼らないでくれ。最後まで責任を持って俺がやるから」
最後――それが何処までを指しているのかダルクを窺い見るが、深い意味があるようには見えなかった。
「勿論です。こんな事頼めるのはダルク殿だけですから」
お願いします――。硬く大きな手を握ると、ダルクは頷いた。
腹の傷痕が見えないように長めのシャツを着たままズボンを脱いでいると、ダルクは当たり前のように引き出しから潤滑油の入った小瓶を取り出した。
下半身剥き出しの状態でベッドで四つん這いになると、ゴツゴツとした手で尻を撫でられ期待と緊張で肌がそそけ立った。
躊躇いがちに、丁寧に、潤滑油を後孔に塗りつけられ、こそばゆさから尻を揺らすと先を催促していると捉えたのか、硬いものがぬるりと押し入ってきた。
馴染ませるように浅い部分で何度か出し入れしながら少しずつ奥へと沈んで行く指の動きに、堪らず腰が揺れてしまう。
「随分と硬いが、……自身で試してはいないのか?」
頷く事で答えると、ダルクは「そうか」と零し、内壁を解すように擦り出した。
うねうねと粘膜を揉みこむ指がある一点を掠り……。
「…っは」
初めて味わう感覚に背を仰け反らせると、確認するように指は再びソコを擦った。
「ひっぁ…!」
「ここか?」
「だ、駄目……」
無意識にそう返し、逃げようとするがダルクに腰を掴まれそれはできなかった。
「ダルク殿待って下さい……」
制止の声を無視して指は内壁を擦り続ける。
「あっ、ああぁっ…あ…っ」
ベッドのシーツを握り締め、執拗な責めに恥ずかしげもなく腰を振り声を上げていると、ずるりと指が引き抜かれ、先程よりも圧迫感を持って体内に侵入してきた。
「な、なに……ダルク…?」
増やされた指は再び内壁を責める。
「あっ…やっ…ああぁん……駄目…だっ……」
言葉とは裏腹にくちゅくちゅと淫らな音を響かせながら指を離すまいと締め付け吸い付く。
じわじわと増幅される快楽を求めるように指の動きに合わせ腰を揺らす。
「もう…だめ…だめですから……」
脊髄から脳を痺れさせる快感に身体を震わせると、シーツには白濁とした飛沫が滴った。
極度の緊張から解き放たれ、うつ伏せにベッドへ倒れ込んだ。
「大丈夫か?」
「…はい」
息を整え、未だに力が上手く入らない身体を何とか起こす。
「達したようだが…その、どうだった?」
「すみません」
「そうか……」
溜息を吐き俯くダルクへもう一度謝ると、ダルクは謝らないでくれと言った。
「俺が不慣れだったせいだろうし、何より今日は初めてなんだ。そんな直ぐに改善されるものじゃないだろう」
次、頑張ろう――。そう言ってタオルを差し出すダルクの下半身に何の変化もない事に落胆を覚えながら作り笑顔でそれを隠した。
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