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第165話

「アキラ?…ボール、触ってみるか?」 やさしく語りかけるみずき。 「え、うーん。じゃ…持ってきて…」 考えるように首をかしげ、アキラはみずきに頼む。 「あぁ…」 頷いて一番軽い球を持ってくる。 「…あ、入った。んー、ボーリングの球って何でこんなに重いんだろーな…」 みずきの腿の上に置いている球に指をはめてみながらアキラは呟く。 そこへ… 「アキさん」 Vサインを出しながら戻ってくるたくみ。 「お、たくみマジ、ストライク?ま、当然だな」 アキラは微笑み迎える。 「アキさん…俺にも少しは優しい言葉を…」 苦笑いで席に着くたくみ。 「えー?充分、優しいぜ、オレは…」 アキラが言い返していると… 「お兄さん~見た?見た?4連続ストライク!」 瞬助も敵ながらはしゃいで報告してくる。 「何っ!たくみ、次もストライク決定な!」 「ははは…」 アキラの言葉に苦笑い。 瞬助とたくみがとにかく上手くて、ストライク取り争いをしているのだ。 コウジとみずきはそこそこな腕前なので、勝負を決めるなら後の二人。 「さ、みずきの番だろ?行ってこいよ!」 アキラは軽く肩を叩き言う。 「…アキラ、投げてみないか?」 立ち上がりながら聞くみずき。 「え…オレはいいよ。っていうか、ボール持てないから無理だって」 ちょっと不機嫌になり苦々しくアキラは答える。 「…球の重さは俺が支えるから、一投だけ転がしてみないか?」 怒ったふうなアキラをもう一度だけ誘うみずき。 「……」 みずきの声掛けは優しかったが… アキラは言葉を返さない。 「わかった、ごめん…無理にはいわない…ただ俺は、アキラにも投げさせてやりたかったから…じゃ、行ってくる」 みずきは優しく謝って、投げに行こうとする。 「待って、一回だけ…」 アキラはポソリと引き止める。 「あぁ…行こうか」 みずきは微笑んでアキラの腕をそっと引く…

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