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第166話
アキラとみずきがレーン前に立つとコウジと瞬助が声をかけてくる。
「えっアキ兄…投げるのっ?」
「おぉ!お兄さんがんばれ~」
「瞬っ、敵応援してどーするのさ!僕が投げるのにっ」
ちょっとムっとするコウジ。
アキラは寄り添うみずきにポツリと言う。
「…ガターしたらごめんな…」
勝敗を決めるかもしれないみずきの一投なので少し気が引ける。
「大丈夫、2投目で決めるから…」
アキラを安心させるために少し見栄をはるみずき。
「ふふ、じゃ頼んだ」
アキラはそう笑う。
「あぁ、…いち、に、さん、で転がすから…いい?」
「うん…よし」
アキラは、みずきが片手で支えてる球に軽く指をはめ、心を決める。
みずきはアキラに教えるように付き添い…
『せーの!いち、にい、さん!』
ふたりは声を揃えて、アキラにとっては生まれて初めての一投を投げる。
「…大丈夫か?」
投げてすぐアキラを心配するみずき…
「平気平気、それより、ほら…結構まっすぐいってる!」
ゆっくり転がる球を目で追いながら、アキラは嬉しそうに伝えてくる。
アキラが楽しんでくれることが、とても嬉しいみずき…
優しく頷きその様子を見守る。
「よしっ!やった、みずき!当たった、倒れたぜピン!」
そう隣にいるみずきに笑顔で報告する。
「あぁ、よかったな…」
微笑み返すみずき。
「たくみ!何本倒れた?」
気になり、すぐ聞く。
「5本倒れてるよ、アキさん」
たくみもパチパチ拍手する。
「みずき、5本!すげーな、オレってもしかして上手い?」
「そうだな」
アキラの歓喜の言葉を受けとめ、微笑んで頷くみずき。
「…ハイ、みずき交替っ!残り倒してくれよ!」
パシっと軽くみずきと手を合わせながら言うアキラ。
「わかった…倒しやすい所が残ってるから多分、大丈夫だよ」
ピンを見ながら頷く。
アキラは席へ戻り際に、みずきに…
「…ありがと、みずき」
ポツリと照れたようにお礼を言って、そそくさと戻っていく。
「うん…」
そのアキラを見つめ頷くみずき。
アキラの…そういう可愛いところが、たまらなく好きで…だから何かしてやりたくなる。
みずきはそう心で再確認する。
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