166 / 213
第167話
それから…
それなりに楽しんだ5人はボーリングを終える。
ゲームの結果は近差で瞬助&コウジ組が勝って、負け組はゲーム代を払うことと、今度遊ぶときにバツゲームをするってことで納得する。
バツゲームは当然瞬助が考えてくるらしい。
ボーリングをしていてすっかり時間が経ってしまい、5人はクリスマスイヴの夜を歩いていく…
目的地はアキラの行きたいといった大きなクリスマスツリーがある公園。
一行は休憩を交えつつ、ツリーまで辿り着く。
「…すげー、やっぱナマで見ると違うなぁ…」
アキラはツリーを見上げ微笑む…。
様々なイルミネイションに飾られた巨大クリスマスツリーを見上げ…
これを見るのも最初で最後かもという気持ちで、その情景を記憶に焼き付ける。
進行性の病を患うアキラにとってはひとつひとつのイベントが大切なものだから。
「確かに綺麗だな…」
みずきもアキラのそばに寄り添い呟く…
「そういえば…コウジたち、寮の門限大丈夫なのか?」
アキラはふと気になって聞く…
「学校、僕らも休みだから自宅に帰ってるんだよ、僕は門限はないから…でも、たくみと瞬助はあんまり遅くなれないけどね」
コウジはアキラと並びながら答える。
「そっか…でも、お前ら受験生だよな、いくらエスカレーター式な学校でも入試はあるんだろ?遊んでて大丈夫なのか?特にコウジ…」
じとーっとコウジを見て言うアキラ。
「う…」
言い詰まるコウジ。
「それなら大丈夫っすよ!お兄さん、コウジ…結構成績いい方だから、余裕だよな!」
横から口を出す瞬助。
「へぇ、そうなんだ…」
勉強は苦手だったコウジが成績いいと聞いて驚く。
「前よりは良くなったけど余裕なんてないよ…ま、瞬助には感謝してるけどね…」
そう軽く瞬助と瞳を合わせる。
「もち、俺はコウジの専属家庭教師だからな」
嬉しそうに答える瞬助。
「なら心配はいらないな…」
アキラはそう微笑む。
「心配だらけだよ…習う事、どんどん難しくなるし…」
ため息をつくコウジ。
ともだちにシェアしよう!