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第171話

「ふ…、そういうモンダイじゃないと思うケド…」 アキラもつられて笑う。 「だから俺はいいから、楽な姿勢で休んで…アキラ」 みずきはアキラをコートで包むようにし、優しく声をかける。 「…うん」 頷いて、小さくアリガトと伝える。 丁度寒かったので温かくみずきの好意を受けることにする。 「…そうだ、…コレ。プレゼント…」 アキラは瞳を閉じたまま、ポケットからシルバーの携帯電話を取出し、みずきに渡す。 「でも、これは…」 驚くみずき… 「ケータイ、それでメールマスターして、オレに早く送れるようになって…」 みずきは携帯電話を持っていないので、一人で家にいる時アキラは、暇で仕方なかったのだ。 みずきがメールを送ってこられるように、携帯電話をそのままプレゼントにする。 「アキラ…わかった、ありがとう」 優しく、細く綺麗な栗色の髪をすきながらお礼を伝える。 「…オレのアドレスしか入れてないから、他は自分で登録しろよ」 また瞳を閉じてそう付け足す。 「…充分だよ」 そうみずきは微笑む… 「……」 アキラは軽く頷いて、そのまま浅い眠りに入る。 その様子を静かに見つめるみずき。 アキラの吐く息も白く… 顔色も蒼白に見える。 アキラは、元々病気の影響で疲れやすい身体だと以前、健次に聞いた事がある。 それでもアキラの体調が、どの位悪いのか… 本当のところは分からない… そこが不安ではある… けれど… そのアキラが自分の腕の中で、安心しきったように無防備に眠る姿を見るのもみずきにとっては、信頼されているようで嬉しい… みずきは、アキラを心配しながら、貰った携帯電話を片手に時が過ぎるのをゆっくりと待った。

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