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第174話
「……アキラ」
みずきは、アキラに並び歩きながらぽつりと呼ぶ。
「…ごめん」
みずきは謝り足りない様子で、もう一度謝る。
「もう、しつこい!」
すると、アキラに怒られる。
「すまない…」
反射的にまた謝ってしまう。
そんなみずきを見て脱力するアキラ…
「はぁ…まーた、みずきの謝り病が始まった」
「……う」
もう謝らないように口をとじる。
「あのな、そんなに平謝りされると、オレが謝らせてるみたいで嫌なんだよ…わかる?」
呆れたように言い聞かせるが…
「あぁ、わかる。けど…謝ってしまう」
首をかしげながら、やはり困った風にいうみずき。
「謝らなくてもいいんだよ、みずきには荷物持ちもさせてるし、明日仕事、朝早いのにこんな時間まで付き合ってくれたんだから…」
みずきに手を伸ばしながら微笑む。
「アキラ…」
みずきは、アキラの手を取り握り返して、一度頷いて…顔を上げ、微笑み返す。
「よし!行こ」
笑顔を戻したみずきを見て、満足したようにアキラは歩きだす。
「あぁ、行こう」
そっとみずきも付いていく…
帰りはタクシーで帰ると決めていたので2人して乗り込んでみずきのアパートまで休みながら帰る。
タクシーの中で身を寄せるアキラに静かに聞くみずき。
「…さっき、かなり眠り込んでたけれど…だいぶ、疲れた?」
「ん?…うん、まぁ、ちょっとね。慣れないことしたから…」
アキラは瞳を閉じたまま答える。
「…どうしても疲れがとれなかったら、明日…無理に来なくてもいいよ」
みずきは明日、姉にアキラを紹介すると言った事を思い出して、そう伝える。
「…大丈夫、行くよ、だって…みずきのサンタ姿見たいんだもん」
片目を開けてそうからかうように微笑む…
「それは…」
アキラの言葉に苦笑するみずきだが…
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