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第177話

――そして、なんとなく時は過ぎて… もうすぐみずきの帰ってくる時間。 「…ただいま」 静かにドアが開き、いつもの優しい声が、アキラの耳に届く… 時刻は夕方の6時前。 「あ、おかえり…みずき。今日ちょっと遅かったな…寄り道でもした?」 仕事から帰ったみずきに近付きながらアキラは軽く問う。 普段なら5時半には帰ってくるから。 「あぁ…今日は給料日だから銀行のATMに寄っていたんだ」 コートを脱ぎ、アキラの前髪に触れながら答えるみずき。 「そっか、お疲れ」 アキラはみずきに、身体を寄せ頬にそっとキスをする。 みずきを待っている間、暇を持て余していたので…話し相手が帰ってきて嬉しそうに話しかける。 みずきはソファに座り、一通りアキラの話を聞いたあと、ぽつりと問う。 「アキラ、身体大丈夫そうだな…今日、6時半には出かけるけど準備はいいか?」 思ったよりご機嫌なアキラを見て安心して言う。 「OK!これ、昨日買った服…似合う?」 微笑んでみずきに見せるアキラ… 着ているのは薄いグリーンのニットセーターに、足のラインが分かるほどのスリムなホワイトのストレートパンツをはいている。 「あぁ、よく似合う、可愛いよ…」 機嫌がよさそうなので、頷いて素直に感想を伝えるみずき。 「アリガト、あと…」 アキラは、微笑んで頷き、すっと結んでいた髪ゴムを取り、手ぐしで髪をとく… 肩より少し長いアキラの栗色の髪… 透ける様な茶色の髪が耳を隠す。 みずきも肩を抱いたその手で優しく綺麗なアキラの髪を撫でる。 「これで、コートと帽子かぶれば性別不詳になるよな…」 微笑みながら言うアキラ。 「…アキラ」 その言葉を聞いて、みずきはアキラが気を遣っているのに気がついて名前を呼んでしまう。 「…いちおう、性別隠した方がいいだろ?お姉さん、がっかりさせたら悪いし、面倒くさいから彼女って紹介してイイよ」 アキラは続けていう。 「アキラ…そんな事を気にかける必要はないんだ」 みずきは、首を振りながら囁く…

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