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第179話
そうこうしている内に、家を出る時間になる。
みずきの働いているコンビニまではバイクで短時間の距離…
アキラを後に乗せてバイクで行くことにする。
「アキラ、大丈夫か?」
大きめのバイク…
みずきの背中にしっかり掴まりながら頷くアキラ。
「うん、平気、安全運転でな、みずき」
微笑んで言う。
「あぁ、分かってる…行くぞ」
そう答えてバイクを走らせる…
一応ベルトはしているが…
アキラが落ちないか、ハラハラしながら、いつもより時間をかけて仕事場へ到着する。
アキラはみずきの心配をよそに余裕をもってバイクからおりる。
「夜間のバイト先は…来るの初めて、あ、ホントだサンタがいる!」
アキラは店内を眺めて言う、レジカウンターには、大学生くらいの女のヒトが可愛いサンタの服を着ていた。
ヘルメットを片付けながらアキラの言葉を聞くみずき。
「あぁ。多分、店長も…」
そう答え、アキラを呼んで表からコンビニに入る。
「…おはようございます」
顔を合わせた女子店員に軽く挨拶する。
「来た来た、おはよー、鈴鹿君…あれ?オイオイ職場に私物を持ち込まないよーに!」
私物とはみずきの後ろにいるアキラの事を指しているらしく…
軽く微笑んで、みずきをからかう女子店員。
「いや…」
困って苦笑いするみずき。
それを見て…女子店員はびっくりした様子で…
「…うわ~、てんちょ~、鈴鹿君笑ってる!」
店長を呼んでいる。
言われて、ハッと顔を無表情に戻すみずき…
アキラが傍に居ると微笑む回数が多いので…つい普通に笑ったのだが、仕事中はほぼ無表情を通しているみずき…
短期バイトに驚かれても仕方ないな…と思っていると…
「…オマエ、笑って驚かれるなんてチョットすごいな…」
みずきの後ろに隠れて立っているアキラが、くすくす笑って呟いていた。
「…お前な、鈴鹿だって人間なんだから笑うくらいするだろ…ダベってないであと十分しっかり仕事しろよ」
奥から出てきた店長が女子店員に言葉をかける。
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