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第180話
「だって、お客さんにもそんなに笑わないのに、だからびっくりしたよ…」
女子店員は頷きながら言っている。
二十代後半の結構、若い店長だ…ちゃんとサンタ服を着ている。
「鈴鹿、今日…来るんだよな、お姉さん」
そうみずきに聞く店長。
「はい。また少し騒がしくします…すみません」
「いやいや、いーよ、ユウリさんに会うの楽しみだしな…」
ここの店長を三年くらいしているので、クリスマス時になるとみずきの姉が来るのはよく知っていて楽しみにしている店長なのだ。
「えっ、鈴鹿君のお姉さんが来るの?見たいなー」
女子店員が声を出すと…
「じゃ、すぐ帰らずに、見て帰るまでタダ働きしてくるんだな…そうしたら、もっと鈴鹿の笑い顔、見れるぞ?」
当然、と言うように店長がツッコミをいれる。
「えー、タダ働きするほど体力残ってないから七時であがります!でも、鈴鹿君の笑顔には引かれるトコだけど、あ、時間来ちゃうよ?着替えてこなきゃ…」
女子店員に言われて、みずきは…
「…あぁ、店長…更衣室に連れて入ってもいいですか?」
アキラの事を指して聞く。
「いいよ、可愛い娘だね、羨ましいなぁ…」
そう頷いて賛辞を贈る店長に…
「…ども」
軽く会釈してアキラはおとなしくみずきのあとを付いていく…
更衣室と言ってもかなり狭い場所にロッカーを詰めたようなトコロだ…
食事をとるために、入り口の角に簡易机と椅子が置いてある。
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