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第182話

みずきは大体着替え終わっていて… 「借りた衣裳のセットにはあるけれど、帽子は仕事中邪魔になるから被らないんだ…」 アキラの方へ向く… 「へー、あるんだ。被ってみせて…みずき」 「え…」 にっこり微笑んで待っているアキラを見てしまうと… 被らないわけにはいかないな…と頷いて、ロッカーの奥の袋の中から可愛い帽子を取り出す。 「…被るのは、やはり抵抗あるな…」 帽子を広げ呟く。 「そう?帽子だけなら被れるよ、オレも。服は勘弁だけど、早く早く…」 そう急かす。 「あぁ…」 頭を下げ帽子をつけてアキラに見せる。 「はは、可愛い~。よく似合うな、みずきサンタ」 「…本当か?」 こんな子供のような格好をしてもアキラは喜んでくれる。 嫌々着ていたこの衣裳も、アキラが笑ってくれるなら抵抗も少なくなりそうなみずき。 「うん、本当。カメラ持ってくればよかったな…」 アキラは椅子から立ち上がり、みずきに近付いて被っている赤色の帽子を両手で少し直す。 そしてアキラは、そっとみずきの首筋に手を回し抱きついてみる。 「…アキラ?」 アキラの動きにドキドキしながら…みずきは優しくアキラを抱き寄せる。 「…ホントは、少し緊張してる。お姉さんに会うの…」 みずきの胸に顔を埋め、ポソっと呟くアキラ… 「アキラ…」 アキラは続けて言う。 「…おとなしくしてるつもりだけど、なんか…マズイことになったらフォローしてな、みずき…」 「あぁ、大丈夫だからアキラ…」 頼られている事が嬉しくて、みずきはアキラを撫でながら優しく微笑む… 「うん、なら、さっさと仕事出なきゃ、時間ヤバイぜ?」 パッとみずきから離れて、いつもの調子で言うアキラ。

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