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第184話

「みずき、ひさしぶり…あ、今日帽子つけてるんだ、案外似合うね」 「にあうね~」 いつの間にかやってきた姉、ユウリが声をかけてくる。 マネするようにカナエも姉にしがみつきながら言う。 「姉さん、ひさしぶり…」 顔をあげて軽く微笑むみずき。 その様子に気付いたアキラ…遠巻きに様子を伺う。 あれがみずき姉か… スラッとした細身で背が高く見える。 横顔は確かにみずきに目元、口元がそっくりで、違いは髪の長さと女性的雰囲気な違いだけで少し驚くアキラ。 その腕には首の座った赤ちゃんを抱いている。 とても二人の子持ちには見えないみずき姉だった。 何やら店長と話をしているようなみずき姉… 腕に抱いていた赤ちゃんをみずきに抱き渡している。 みずきは少しオロオロした感じで泣きそうな赤ちゃんをあやしている。 「ふふ…」 その様子が可笑しくてアキラは小さく笑う… なんか、新米パパみたい… みずきをみてそんな風に思う。 なんだか少し胸が切なく感じてしまう… みずきは…そういう姿がよく似合ってる。 子どもを持って家庭を持って… みずきの性格なら失敗するようなことはないと思う。 真面目で家族思いな奴だから… そう考えると、自分がみずきの恋人として紹介される事に抵抗を感じずにはいられない… なんで…オレなんか好きになってんだろな、みずきは… 本当バカすぎだよ…。 アキラは心の中で思って薄くため息をつく…。 「…アキラ」 丁度その時、みずきから声がかかる。 呼ばれて、気は進まないけれど、カウンター横のスペースまで行くアキラ。 レジは寛大な心の持ち主の店長が代わってくれていて、話をするため、みずきにしばらく休憩をくれたらしい… アキラは静かにみずきの横に立って、チラっとみずきを見返る。 みずきは赤ちゃんを抱いたまま、アキラと瞳を重ね優しく微笑み頷き、姉の方に向いて言葉を出す。 「姉さん、この人が…俺の恋人の楠木アキラ。ずっと前から俺が片想いしてて…、アキラには色々助けてもらったし、ずっと大切にしていきたい人なんだ…」 みずきは、もう一度アキラを優しくみて、姉に紹介する。

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