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第185話
「…そう、良かったね。初めまして、みずきの姉の仁科優里です」
ユウリは、みずきと同じ優しい微笑みを浮かべアキラに挨拶をする。
「あ、…初めまして、楠木アキラです」
アキラも自己紹介しながら頭を下げる。
その頭を帽子の上から柔らかく撫でられる。
「…!?」
驚いて顔を上げると…
撫でているのはユウリだった、背はアキラより高い…
「ふふ、可愛い。電話に出たコだよね…そっか、どんなコだろうって思ってたけど、こんなに可愛いと文句のつけようがないわね」
柔らかく弾む声で言いアキラの顔を見つめる。
「姉さん…」
「ちゃんと、男らしくその人を守っていくのよ…後悔しないように…」
視線をみずきに移し言葉をかけ…
ユウリはみずきに教えるように言う。
「ウン、わかってる。しっかり考えてる」
みずきの答えを聞いてユウリは安心するように笑って、みずきの抱いている子を腕に抱きながら、今度はアキラに向かって…
「ね、ちょっとお話いいかしら…」
そう聞くユウリ…
「えっ…」
思わぬ問いに、一瞬答えに詰まる。
「姉さん、今日は初対面だし、アキラも緊張してるから、話すのはまた今度に…」
みずきは、あまり話したがらない様子のアキラを思い出し、そう姉に言うが…
「でも…みずきも仕事しなきゃね、その間ただ待ってるのも暇でしょ、少しだけ駄目かしら…」
アキラにお願いするようにユウリは再度聞く…
「姉さん…」
みずきは困ったように言うが…
「いいよ、みずき…ちょっと行ってくる」
悪気なくお願いされると、あからさまに断るのも気が引けて、アキラはユウリの頼みを聞き入れる。
「アキラ…」
心配そうに呼ぶみずき…
アキラは大丈夫と伝えてみずき姉についていくことにする。
「ありがとう、ごめんねみずき、アキラちゃん少し借りていくね」
そう優しく微笑んでアキラの手を引いていくユウリ。
アキラはおとなしくついていく…。
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