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第186話

ユウリは子どもたちを車で待っている夫の元へ預けて、近くの喫茶店に入る。 「どうぞ…」 ユウリは優しく声をかけ、アキラに椅子をすすめる。 「あ、スミマセン…」 アキラは小声で答え椅子に座る。 ユウリも座りながら… 「そんなに身構えなくてもいいのよ、いじめたりしないから…」 アキラの様子を見てクスクス笑うユウリ。 「はぁ…」 一応、頷くアキラだけれど、なんだか落ち着かない。 「はい、好きなの頼んで、支払いは任せてね」 「あ。ありがとうございます」 オーダーを済ませ、一息ついて話はじめるユウリ… 「ごめんね、無理矢理、連れこんじゃって…」 微笑みながら謝る。 「いえ…」 軽く首を振るアキラ。 「私、嬉しくてね…、みずきがこうして恋人を私に紹介してくれたことが、今までなかったから…」 嬉しそうな姉の顔… 「……」 少しだけ心苦しい気持ちになる。 「アキラちゃん、みずきの事、どう思う?」 そう軽く問う。 「えっ、どうって…優しいかな、すごく」 ユウリの問いにアキラはポツリと答える。 「うん、昔からね…あの子はそうだったの、優しすぎて頼りないトコもあるかもしれないけど…」 「それはあるかも…」 アキラはポツリと言う。 「ふふ、でも…嫌わないでやってね、私に紹介してくれるってことは…相当、本気なんだと思うから…」 「…はい」 嫌いになることはないと思うけど… コクンと頷く、アキラの返事を聞いてユウリはまた微笑み…

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