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第188話
「私は…みずきほどじゃないから…それに今はこどもにも恵まれて幸せに暮らせてる。今度はみずきの番なの、悲しませたり…させないでね」
頼むような口振りでアキラに伝えるユウリ。
「……」
その頼みには…
言葉で返事することが出来なかった。
浅く頷いて微笑み返すだけにするアキラ。
そのまましばらく話をして、性別を怪しまれることもなく無事帰ってくる。
「アキラちゃん、今日はありがとう。みずき、それじゃ…私はそろそろ帰るから、カナエ、サンタおじちゃんにバイバイは?」
ユウリは、いつのまにか傍に付いてきている子どもに声をかけている。
「うん、ばいばい…サンタのみーきおじちゃん、またねー!」
可愛らしい笑顔を向けて手を振るカナエ。
「うん、バイバイ…カナちゃん、姉さんも気をつけて…」
みずきも笑顔で見送る。
「うん、元気でね…」
ユウリは軽く頷いて帰っていく…。
「アキラ…ごめん、姉さんが…」
みずきはすぐアキラに申し訳ないように話しかける。
「ん?いいよ、暇つぶしになったし…」
アキラは奥に歩き出しながら答える。
「アキラ…」
「奥で待ってるから、仕事続けてろよ」
付いて来そうなみずきを制する。
「…あぁ」
姉さんと何を話したのか心配で仕方ないみずきだが、これ以上、仕事をおろそかにも出来ないので時間まではアキラとの会話を我慢するみずき。
夜11時過ぎ…
仕事の時間が終わってみずきはイソイソとアキラの待っている更衣室に向かう。
「アキラ…」
声をかけると…
「あ、お疲れ…みずき」
笑顔で迎えてくれる。
「アキラ、今日はすまない…まさか姉さんがアキラに話すとは思わなかったから…」
みずきは取り敢えず姉のことをアキラに謝るけれど…
アキラは特に気にしたふうでもなく答える。
「いいって言っただろ、みずき」
「あぁ、姉さん何かアキラの気に触ることを言わなかったか?」
そして気になっていたことを聞いてみる。
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