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第189話

「…ううん、別に、いいお姉さんだな…」 アキラは椅子から立ち上がりながら囁く。 「…アキラ」 「みずきに…幸せになってもらいたいんだって…」 そして、やさしく微笑みながら… 「幸せになれよ…みずき」 瞳を合わせ伝える。 その言葉は… アキラに突き放されたように感じるみずき… 「…しあわせだよ、アキラがいてくれるから…」 アキラを優しく抱き寄せながら囁く。 アキラがいるから幸せ… もう離れることなんか考えられない…。 「…ん」 瞳は複雑な色を含み… 浅く頷くアキラ… 「プレゼントがある…アキラ」 そっと耳元で伝えて、いったん離れるみずき… 「…何?」 少し首を傾げるように聞くアキラ。 「少し待って…」 みずきはロッカーから片手に収まる青いケースを取り出す。 「アキラ…これを…」 「これは…リング」 みずきの手の中にあるのは…ペアリングのケース。 開けると、シルバーリングが2つ… 裏にはローマ字で名前が彫ってある… 「これが、アキラの…」 みずきは、指輪のひとつを持ち… 「…はめても、いいか?」 優しく聞くみずき… アキラはみずきの瞳をしばし見つめて… 浅く頷く… 「…ユビワもらったのは、はじめてだ…」 手をさしだしながら、ぽそっと言葉を返すアキラ。 「アキラ…」 みずきは、そっとアキラの細い左手の薬指へと、リングをとおす。 「…サイズ、よく分かったな…」 アキラの指に綺麗にはまったリング… サイズはぴったりだった。 「なんとなく…、小さなサイズをもらったんだ…合って良かった」 頷いてみずきは答える。 「ふふ、みずきの貸して…はめてあげる」 そう微笑んで、アキラはみずきにも指輪をはめる。 「あぁ…ありがとう」 みずきはアキラと同じ指に輝く銀色のシンプルリングを見て…少し照れたように笑って、アキラの左手と指を絡めるように手を握り…そっとアキラを抱き寄せる。 そして… 「アキラ…愛している」 静かに囁いて…アキラの唇へ口づけする。

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