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第192話
「…ハイ、早く着替えて家帰ろ、みずき」
みずきは頷いて…
「あぁ、今着替える、お腹すいたか?夕食まだだろう?」
もう夜十一時をまわっているのだが、食べていない様子のアキラ、何か主食を食べさせないと…と、みずきは聞くが…
「うーん、さっきコーヒー飲んだから…オレはいいや」
どうやら食欲がないらしいアキラ…
「そういう訳には…」
みずきが首を傾げると…
「みずきこそハラ減ったんだろー、なんか買って帰れば?」
逆に聞かれる。
「俺はどうにでもなるけれど…アキラはコンビニ弁当、嫌いだしな。何か食べたい物あるか?アキラが食べないと…俺も安心して食べられないから…」
みずきは着替えながらアキラに窺う。
「いらないっていってるのに…うーん、みずきを飯抜きにさすわけにはいかないから…食べるよ、そうだなー…あ、おにぎりが食べたい」
やれやれと息をついてアキラは食べたい物を言う。
「え、おにぎり?」
みずきは思わず聞き返す。
「そう、みずきがにぎったヤツ…前、作ってくれたじゃん、梅入ってて、美味しかったから、また作ってくれたら食べるよ」
アキラはにこにこしてみずきに言葉を返す。
「あぁ、そんなものでいいなら、いくらでも作るよ…」
アキラが食べる気になってくれただけでもかなりの収穫なみずき、喜んでアキラの頼みを聞き入れる。
「いくらでもって…ひとつでいいよ、そんなに食べないし…」
首を傾げるアキラに…
「わかった!さ、帰ろう」
みずきは、そっとアキラの左手を引いて…コンビニをあとにする。
繋いでいるアキラの手には…自分が渡した銀色のリングが、しっかりはめられていて…触れるだけで嬉しい気持ちになるみずき…。
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