191 / 213

第192話

「…ハイ、早く着替えて家帰ろ、みずき」 みずきは頷いて… 「あぁ、今着替える、お腹すいたか?夕食まだだろう?」 もう夜十一時をまわっているのだが、食べていない様子のアキラ、何か主食を食べさせないと…と、みずきは聞くが… 「うーん、さっきコーヒー飲んだから…オレはいいや」 どうやら食欲がないらしいアキラ… 「そういう訳には…」 みずきが首を傾げると… 「みずきこそハラ減ったんだろー、なんか買って帰れば?」 逆に聞かれる。 「俺はどうにでもなるけれど…アキラはコンビニ弁当、嫌いだしな。何か食べたい物あるか?アキラが食べないと…俺も安心して食べられないから…」 みずきは着替えながらアキラに窺う。 「いらないっていってるのに…うーん、みずきを飯抜きにさすわけにはいかないから…食べるよ、そうだなー…あ、おにぎりが食べたい」 やれやれと息をついてアキラは食べたい物を言う。 「え、おにぎり?」 みずきは思わず聞き返す。 「そう、みずきがにぎったヤツ…前、作ってくれたじゃん、梅入ってて、美味しかったから、また作ってくれたら食べるよ」 アキラはにこにこしてみずきに言葉を返す。 「あぁ、そんなものでいいなら、いくらでも作るよ…」 アキラが食べる気になってくれただけでもかなりの収穫なみずき、喜んでアキラの頼みを聞き入れる。 「いくらでもって…ひとつでいいよ、そんなに食べないし…」 首を傾げるアキラに… 「わかった!さ、帰ろう」 みずきは、そっとアキラの左手を引いて…コンビニをあとにする。 繋いでいるアキラの手には…自分が渡した銀色のリングが、しっかりはめられていて…触れるだけで嬉しい気持ちになるみずき…。

ともだちにシェアしよう!