192 / 213
第193話
そうして、コンビニからこじんまりとしたみずきのアパートに戻ってくる2人。
時刻は既に0時近い…
みずきは、部屋の暖房をつけ、防寒着を脱いで、風呂を焚きに動く。
戻ってくるとアキラは暖房器具の前を陣取って…
「ふ~寒かった」
そう呟いている。
「大丈夫か?」
戻ってきて、アキラの様子を見ながら声をかける。
「大丈夫!お前は心配しすぎ!」
そう額を小突く。
「あぁ…すまない、どうしても言ってしまう」
気になるから…
苦笑いしながら、そのアキラの手を握るみずき。
「ったく仕方ないな」
アキラもソファに移動しながら…やれやれ、と笑う。
「今、おにぎりと温かいお茶出すから待っていて」
優しくアキラに付き添いながら伝える。
「急がなくていいよ」
「あぁ、本当におかずいらないのか?卵でも焼くか?」
「ん、いいって、そんなに腹減ってないし」
アキラはソファに座って、一息つく。
「わかった…」
あまりいうと、また心配しすぎと怒られそうなのでとりあえず、アキラにおにぎりを作ってやるためにキッチンに移動する。
みずき自身はコンビニで弁当を買ってきているのでそれを温めながら…
みずきは準備を済ませ戻ってくる。
「はい、お待たせ」
「ん、ありがと」
アキラ用に小さめに握った梅おにぎり…
意外にきれいな三角むすびになっている。
「いただきます」
海苔の部分を持って食べ始めるアキラ。
「あぁ、いただきます」
みずきもコンビニ弁当と残っていたご飯で作ったおにぎりを食べ始める。
「うん、おいしい」
絶妙な塩加減と握りの強さ…自然と言葉が出る。
「良かった」
その様子を見て、みずきも微笑む…
「みずきって、他の料理はあんまできないのに、おにぎりだけは上手いな、不思議」
可愛く首を傾げながらいう。
「昔…姉さんに米の炊き方とおにぎりの作り方だけは習っていたから…」
そんな姿にドキドキしながらも平静を装って答える。
「そうなんだ」
「食べ物が何もないときはよく自分で炊いて握って食べていた」
自分で握っているうちに美味しい加減がわかってきた。
「そっか」
「たまに食べるとおいしいよな」
「そうだな、また作ってな」
「あぁ、アキラが食べたい時に作るからいつでも言ってくれ」
「ありがと」
たわいない会話をしながら食事する2人。
すでに時計の針は零時を回っていた…
ともだちにシェアしよう!