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【儚い雪の結晶4】
「暖冬とかって言うから珍しいかもな…」
「そうだな」
「でももう時間ないからホワイトクリスマスにはならなかったな」
首をかしげながら話す。
「雪が降ったらホワイトクリスマスじゃないのか?」
「雪が積もったら、だよ」
「そうなのか…」
無知な自分にいろいろ教えてくれる…
年下だけど、しっかりしているアキラ…
そんなところが尊敬できる。
「でもこんな時間に出歩いているのはオレらくらいだろうからみんな雪に気づいてないかも」
また言葉をつなげる。
口下手な自分もアキラとなら会話が続く…
「そうだな…ケーキもなにもないクリスマスですまない…」
ふと、表情を落として謝る。
「別にいいって、クリスチャンでもないし、オレはクリスマスとかイベントごとなんか元々してないから」
「でも…」
普通クリスマスといえばケーキを食べて、チキンを食べて賑やかに過ごすものだから…
仕事が休めなくて申し訳なく思う。
「こうやって、クリスマスらしいもの見られて、…雪も見て、それを2人で独占できてるんだから…それで充分だろ…?」
トナカイやクリスマスツリーのような形にあしらった様々な電飾を見つめながら…ぽつりと話す。
2人で同じものを見て感じて…一緒にいられる時があれば…充分幸せ…
この一瞬が大切…
次はもうないかもしれないから…
「アキラ…あぁ」
そっとその澄んだ瞳を見つめ頷く。
自分も…何もなくてもアキラがそばにいてくれたら、それが幸せ…
「ま、男2人でワンホールケーキ囲んでても微妙だし」
心の内で思ったことを隠すように、クスクス笑いながら言葉にする。
そんなアキラを見ていると、自然と微笑みが零れる。
不意に彼は止まって、降りてくる雪を手袋越しに、手で受け止める…
「雪の結晶…」
「綺麗だな…」
その手を覗き込んで、ポツリと言ってみる。
「……」
しばらく2人で見ていたら、手袋の上にあった雪の結晶もスっと溶けて消えてしまった…
「雪って儚いよな…」
不意に言葉を零す…
「アキラ?」
「オレも…雪みたいになれたらな…」
「え?」
「ギリギリまで綺麗でいて…消える時はさっと消えたい」
あとには何も残さず…
だらだらと…惨めになって死ぬのは嫌だから…
消えてしまった雪の結晶を握りしめてそんなことを言う。
「アキラ…」
そんな言葉を零すアキラを、ハッとした表情で見つめ…
緩く首を振って…
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