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第11話

部屋へ着くと… 「ゲームでもしてな」 声をかけ、棚を探っているアキラ。 広々として片付いているアキラの部屋、みずきはとりあえずTVゲームの前に座り待っている。 「あった、これだな、病気の資料集めたファイル」 アキラはひとつのファイルを取り出し、みずきへ渡す。 「それ、小3の時に集めたんだ。その頃はっきり自分の病気のこと知ってさ、今はあまり見ないけどな…」 ベッドサイドへ座りながら説明する。 「……」 開いてみるとコピーした文字が目に入るみずき。 「この家2Fが全部書庫になってて、そこから集めた。やっぱ稀な病気だからあまりなかったけど、麻ヒとか発作の処置なんかまとめてるはず…」 軽く言うアキラ。 みずきはアキラの言葉を聞きながらファイルに目を通す。 「ま、自分の事だからな、自分で処置が解るようにな…」 難しい字が並んでいるが、真剣に見ている。 (…どんな思いでこの資料を集めたのだろう…) そう思うと胸が苦しくなるみずき。 紙の端に、ペンで走り書きされた言葉に涙が出そうになる。 ――最後の最後まで生きてやる!―― 今のアキラの字とは程遠い字だけれど、小3のアキラが思った気持ちが痛いほど伝わってきた。 「も、いいか?片付けて?」 みずきに近づき聞く。 みずきはアキラの隣に座りながら。 「これを、俺に、2、3日貸してくれないか?」 静かに聞く。 「えッ?…どうしょうかな、なんかイロイロ書きこんだような覚えが…見られるのハズかしいな、字ヘタだし…」 「アキラの事なら知っておきたいんだ」 真剣に頼むみずきを見て… 「ま、イイか、ちゃんと返せよ」 微笑み頷く。 「あぁ、わかっている」 みずきもつられて笑う。 「オレちょっと風呂行ってくるからゲームでもしてて」 風呂の支度をしながら言い。 「あぁ…」 みずきの返事を聞いて部屋を出て行く。 しばらくファイルに目を通し待つことにする。 そうして風呂上がりでパジャマ姿のアキラが戻ってくる。 「さっぱりした、雨濡れてベタベタしてたからなぁ」 髪をタオルで拭きながらぼやいている。 「……」 「お前も入ってきたら?」 「あぁ、すまない」 湯上り美人を前にして、無意識に鼓動が速くなる。 極力アキラをみないように答え、逃げるように風呂場へ行くみずき。 そうして、みずきも風呂から上がる。 「おかえり」 「あぁ、ありがとう…」 アキラは勉強机の方にいるので、少し離れたベッドサイドへ腰を下ろす。 「じゃ、みずき、お前もう寝ろよ、寝不足の顔してるぞ…」 すっと立ち上がり近づいて、みずきを見下ろし促すアキラ。 「アキラが心配で眠れない…」 みずきは言うが… 「オレも寝るから…」 そう答えて棚から液体状の薬を出している。 冷蔵庫から、水を取り出し、一口量に混ぜてコップに入れている。 「なんだ?薬か?」 ベッドサイドに座ったまま聞くみずきに… 「そう、眠薬…」 なにげに答えながら薬を持ってみずきに近づく。 「お前もいる?」 「いや、いらない」 「ふーん、どうして?」 薬を口へと運びながら聞く。 「俺は…!!…ッ」 答えようとした、みずきの口にディープキスするように、アキラの口から眠薬を流しこみ、無理矢理薬を飲ませる。 口うつしで…。 「なッ…!何をッ…!?」 唐突だったので薬を思わず飲み込んでしまったみずき。 かなり驚いて立ち上がりアキラを見る。 「飲んだ?即効性の薬だからすぐ効くぜ、オレのせいで身体壊して欲しくねーからな、ゆっくり寝てろよ」 「そんな事…」 言いかえそうとしたみずきだが、すぐに目が、かすみ眠気が襲ってくる。 つい、アキラの肩に手をかけてしまい、急に体重がかかってアキラともどもベッドへ崩れ落ちる。 そっと、みずきがなんとか開けているまぶたを静かにおろし、やさしく… 「おやすみ」 そう、囁くアキラ。 その言葉を最後に、深い眠りへと入っていくみずき。 「悪ィな…オレ今日はもう薬飲めなかったんだ」 (これで朝まで、寝てくれるはず) アキラはみずきを見ながら言い… 起き上がると、少しクラっとめまいがする。 「ヤベっ、オレも少し入ったかな薬…」 いったんベッドに座りながら… 「じゃ、オレも寝よ」 軽く言い、ベッドに寝転ぶみずきを奥へと押す。 これだけの作業でも、息が切れる。 ベッドの棚を確認して… 「はぁ、えっと…水とO2(酸素器)それから、薬は置いて…いや、やめとこう。置いてあったら絶対飲んでしまいそうだからな…」 そう言うとアキラは、ケースに入った薬をポイッと机の棚まで投げる。 (さすがに恐いな…発作…) できればもう起こらないで欲しい。 薬に別れを言ってベッドへもぐる。 不安材料を消すようにみずきに、寄り添い…軽く眠りに入るアキラ。

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