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第13話

「さんきゅ、こっち来て…」 顔だけ上げてみずきを呼ぶアキラ。 呼ばれてすっと隣に、何も言わず座る。 「せっかく起きたんだから付き合ってくれよな…」 アキラはそう言うとみずきにもたれかかり、右手で触れて抱きよせる。 「今、つらいのか…?」 聞いてしまう。 「…そんなに。間隔に入ったから、間隔10分強、まだまだだな…」 断続的に麻痺と弛緩を繰り返す、弛緩している間はいっとき痛みから解放される。 「何?」 ぽつりと言うアキラに問うみずきだが、アキラは右手でみずきの腕をとり自分の左腕の上に置く。 「…?」 「あのな…教えてやるから良く聞けよ…」 「ここ、腕の骨があるの解るだろ?」 アキラはみずきの指の上に自分の手を重ね説明をはじめる。 「あぁ」 「この内側、ここから、ずっと足までの筋肉が硬縮して麻ヒするんだ…」 みずきの手を持って自分の身体をスッと這わせ教える。 みずきは触っているだけで胸がドキドキして、その心を抑え目線を泳がしてしまう。 「みずき?聞けって、マッサージの仕方は場所によって少し違うから覚えて欲しい…」 強く言われて… 「あぁ」 すぐ二回頷くみずき。 「腕は、骨の内側2㎝くらいを親指のハラで軽く押す。背中は手のヒラ全体で摩るように押す」 実際にみずきの手を動かし、手ごとやってみせているアキラ。 「それから、足、太腿は、足の下へ向かって伸ばすように深く摩る。これはこってるんじゃないから指圧はしない方がいいんだ、解った?」 「あぁ」 丁寧に教える。 みずきも良く解ったが、説明にアキラの身体を使わないで欲しい…とても、落ち着いては聞けないと思うみずき。 「次からはそれで頼むな…」 そう言って、みずきの右手を握ったまま、頭を肩にもたれさせるアキラ。 静かに瞳を閉じる。 髪で顔が隠れてしまっているので、みずきは見たくなって栗色の髪をすいてそっと見る。 アキラは気にするでもなくマスクから酸素をとり入れている。 (寝てしまったのだろうか…) 考えたがやめておく。 少しの間、静かに時が過ぎていく。 が、急にビクッと身体を震わせ握っている右手に力を入れてくるアキラ。 「ぅッ、ァ痛…ッっ」 無理矢理起こされ目をあけて痛みに呻く。 身体中の熱が左半身に集中するようにヒキつる。 汗がどっと出てくる。 みずきは教えてもらった通りに腕をマッサージしながら、声をかける。 「大丈夫か?…どこが一番痛む?」 「ッ、ゥン…ぁ、足が…」 痛みに耐えつつ、それだけみずきに伝えてくる。 そして息を詰めながら、みずきの肩に頭を埋めてしまう。 みずきはそれを聞き、足をマッサージしてやる。 硬くなってしまっている場所を… 「っァッ…ィッ」 マッサージのはじめはどうしても痛がるアキラ。 それに耐えているアキラを見るだけで、自分も痛い気分になる。 だが、マッサージをする事で、少しずつ筋肉が柔らかく、元に戻るのがわかるので必死になるみずき。 早く楽にしてやりたい一心で…。 5、6分してようやくアキラの右手の力が弱くなり、息使いにも余裕が出てくる。 しかし、アキラはみずきの肩に顔を臥せたままだ…。 髪をかき上げ顔を覗くと、疲れきった様に眠りこんでいた。 また、次の麻ヒで起こされるのかと思うとかわいそうになり、汗の出ている顔をそっと拭いて、頬にキスをする。 代わってやれたらどんなにいいか… 幼い頃から、そして死ぬまで……こんなに苦しまなくてはいけないのか…アキラは… みずきは心で思いながら、アキラを抱きしめる。 みずきもマッサージを続けていたので、腕がだるくなったがそれさえ忘れてただ、時が過ぎるのを待っていた。 《恋人…同士?》終

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