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第14話《祈りの朝》
……ようやく、外が明るくなり、朝がきた事を知らせる。
アキラは疲れきっているが、ぼーっと瞳を開く。
みずきが見ていただけでも、10回以上、麻ヒを繰り返して、やっと落ち着いて何も起こらなくなった。
「目覚めたか?…アキラ、大丈夫か?」
ずっと、起きていたみずきが、静かに問う。
「…大丈夫」
みずきに寄りかかっている頭を上げ、渇いた口でそれだけ言う。
汗のせいで、髪まで濡れてしまっているアキラ。
抱きしめられたまま続けて…
「みずきも少し休めよ…仕事まで時間があるし…」
「俺はいい、睡眠薬でいつもより、多く寝れた…」
「ふふ、そっか…」
軽く笑うアキラ。
「何か飲むか?」
やさしく聞くみずき、アキラはからかうように言う。
「酒、とか言ったら、どうする?」
「……だめだ」
熱いアキラの顔に触ながらやさしく注意するみずき。
「うん…解ってる。あ!悪ィ…みずき、手、怪我させてたな…」
明るくなりはじめて、みずきの手に爪でキズつけていたのに気付き、謝るアキラ。
「このくらいどうって事ない、お前に比べれば…」
手には薄く血が滲んでいる。
「全然、気付かなかった…」
アキラはぽつりと言ってみずきの手をとり、傷口を舌で舐めてくる。
「ァ、アキラ!?」
その行動にドキッとして、みずきは慌てるが…。
「消毒……唾液って殺菌作用があるんだぜ…」
そう説明しながら続けている。
そして『ハイ!』と声をかけ…
「擦ったらダメだぞ」
そう付け足してみずきの手を解放する。
「ぁ、あぁ」
浅く答えて、ドキドキする心を隠し…手をひくみずき。
アキラは何気なく聞く。
「みずきってさ…いつからオレの事好きだった?」
「…ずっと前から好きだったと思う。でもそれにはっきり気がついたのはお前が15、16歳の頃…」
「…16?」
語尾を少し疑問系にして呟く。
一回頷いて、続けて話すみずき。
「ルードと暮らしているのを知って…ルードのために一生懸命になっているアキラを見て自分にも振り向いて欲しいと思っていた…」
「へぇー、オレ全然気付かねぇって言うか、オレ…お前に嫌われてんのかと思ってたぜ。だから…その頃はオレも嫌ってたなみずきのこと…」
「……」
何も言えず沈黙してしまう。
「みずきとはあまり話さなかったしなぁ…」
「俺は…あの頃、お前に嫌われている事はわかっていた。だから、この感情を捨てようと諦めようとしたんだ…でも、そう思うだけで苦しかった…」
静かに言うみずきを見つめながら…
アキラは頷いて…
「そっか、ごめんな…オレ怒ると思った事すぐ言ってたから、オレもガキだったんだよな、今思うと。……今もかな」
みずきは軽く首を横に振り話す。
「…いいんだ、あの頃はお前に好きな人がいるのに俺の想いを押しつけようとは思わなかったから、今こうして二人で居られるのも信じられない。この気持ちは一生伝えられなくてもいいと思ってたから…。近くに居られるなら、離れるより何倍もいいから」
珍しく長々と噛みしめるようにアキラを見てみずきは伝える。
アキラはそれを見て…
「すごいなみずきは…オレにはそんな事、絶対出来ねぇもん。欲しいものは欲しい、待ってられないし、今まで友達のフリすんの大変だっただろ?あ、もしかして寝てる間にキスしたりした?」
興味津々に聞いてくるアキラ。
「いいや、してないよ」
軽く首を振るが…
「うっそだー、寝てんだぜ?何してもわかんねーだろ?」
疑ってみるアキラにみずきは…
「あぁ、無防備に寝ているのを見ると何度となくキスしたい衝動にかられた…でも気持ちを伝えていないのにヒキョウだから…してないよ」
「ふーん、変わってるなぁ?」
「そうか?」
「うん、他のセンパイたちなんか、嫌がってもムリヤリしてくるぜ」
息をつきながら言うアキラを見つめ、みずきは聞く。
「今もなのか?」
「あー、ホントホント。オレって人気だし、本気で逃げないって思われてるから、あっちも遠慮しねーみてぇ…でも、そろそろ嫌になるよな、身体もハタチまでもたないと思うし、早く社長にわかってもらわないと…」
「社長には話してるのか?」
「そ、でもな…オレの売上、上位ランクだから今は辞めさせる訳にはいかないって…全然話にならないんだよ」
「……」
そう首をかしげ、困ったように溜め息をつき沈黙するアキラ。
みずきも同じ所で働いていた者なので、その気持ちはよくわかって、軽々しく言葉を返せないでいた。
アキラはきっと毎回誘われて、断りきる力がないから、BOUSの奴らに遊ばれているんだ。
それを思うと、なんとも表現できない気持ちになるみずき、本当ならそんな場所行かせたくない。
でもそうすればまたアキラは罰撮影を受けることになる。
決して自分だけのものにならないアキラ…
解っていても気持ちを伝えたら独占欲が出てしまうみずき。
「つらいなら、俺が社長に言ってやろうか?」
やっと言葉を返す…
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