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第17話
自分は押し倒されるのに慣れているけど、みずきは自分の意思で押し倒すのに慣れていないんだな…
みずきの様子を見てそう感じるアキラ。
みずきの舌が口の中に残る血臭さを薄めてくれた…。
アキラは、すっと起き上がり顔を伏せているみずきのお腹の上にドスっと馬乗りになる。
「うっ!」
「ふふ、重いー?みずき」
「ア、アキラ?」
「ごめんなー、みずき。そーだよな、言わなきゃ、わかんねぇよな…なんでイライラしてんのかわかんねぇでアタられても、困るよな…」
ふっとやさしい顔になり、ぽつりぽつりと言葉を繋げていく。
みずきの両手を合わせて静かに握り、アキラの髪がみずきの頬に当たるくらい顔を近づけてくる。
その行動に鼓動が高鳴るみずき。
「オレさぁ…薬の副作用で気分悪くて、ずっと頭痛がしててイラついてんだ…内臓も痛めたし…後は、空腹かな…」
最後の方は、くすっと笑ってみずきに口づける。
そして、みずきの手の自由を奪ったまま、首筋へ、鎖骨へと唇を這わせカイカンを煽ってくる。
みずきは驚いて動けないでいたが、さすがに慌てて起き上がる。
「あ、アキラっ何をッ…!?」
「…オーラルSEXしよ、みずき」
アキラは、誘って、みずきの服のボタンをそっと外していく……
「な…で、でも…それは!」
かなり、慌てる。
それを見てアキラは…
「オレ、何かしてないと痛みに気がいっちまうから、いいよな…?オレじゃダメなのか?」
やさしく、瞳を合わせ聞く。
なんとも可愛い姿で…
「そ、そんなコトはない!でも、自分が抑えられるかわからないから、だめだ!」
頭を振ってアキラの肩を、引き離すみずき。
アキラは クスッと笑って…
「抑えなくてイイよ、さっきみたいに押し倒せばいい、そんなに遠慮しなくていいのによ、もっと自分に自信持って…みずきは自分が思っている以上に魅力あるんだからな…」
そう、やさしく伝え、みずきの頬に片手で触れてソフトキスをして、同時に外したボタンの間から…アキラの細い指を這わせ触れていく。
みずきは緊張の糸がピーンと張ったように動けない。
撮影でも何でもない、理由なんてない…。
栗色の髪をサラサラとおろしたまま、綺麗な瞳は自分だけを捉らえていて、でもその顔全体には生気を感じさせないほど、辛さを隠している。
……それでもアキラが望むなら。
「…!」
みずきは自分が思った事にドキッとする。
(…アキラが?)
違う。
アキラは見抜いているんだ、自分がアキラを欲していることを…そして自分は理由がないと動けないと言うことを。
(…だからアキラは…)
それに気付くと同時に、身体の緊張も解けるみずき。
こんな状態のアキラに少しでも気をつかわせてしまう自分が情けなく思える。
男らしくない自分…。
「ん、アキラ…ありがとう」
愛撫を続けていたアキラのこめかみにそっとキスをし、顔を上げたアキラを静かにベッドへ押し倒す。
アキラはスッと笑顔を浮かべみずきに上目遣いに話す。
「忘れさせてくれるんだ…」
(この痛みを…)
やさしい瞳で見つめられみずきは、改めて自分がアキラの事を本当に愛していると言う事を実感していた。
静かに頷いて微笑するみずき。
そして、アキラの髪に、顔に触れ…
「……愛してる。アキラ…誰よりも愛している」
心をこめて言った言葉に自分自身、涙が出そうになる。
伝えられる喜びで…
「ウン、ありがと、好きだぜ…みずき…」
愛し返せないと言ったアキラ。
でもそれでいい、俺の気持ちを受けとめてくれただけで、今は…
それ以上は望めないから、みずきは心に留めてアキラを見る。
黒いパジャマ姿のアキラ。
ボタンを外し白い肌へ触れていく。
アキラの唇をみずきは親指で、やさしくなぞり、口づけする。
軽く何度かキスをしてそして、深く舌を絡めていく。
「…ッんン…ッ」
みずきの行為に、ささやかに反応を返す。
不意にアキラは…
「ンー、そう言えばさぁ…」
「ん?」
何かと、動きをとめて聞くみずき。
「…さっき、けっこう汗かいたから、オレのカラダしょっぱいかもよー?」
続けてアキラはそんなコトを言う。
みずきは、可笑しくて笑ってしまう。
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