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第19話

「…みずき?」 「…恐い、おまえを失うのが恐い…」 抱きしめた手がかすかに震える。 「…みずき、オレ、そんなに簡単には死なねーから、みずきが恐がることなんかねーよ」 アキラの言葉に何も言い返せないみずき。 白い肌がリアルで…心を縛る。 「…昨日さ、オレ、本当は死にたかったんだ。いっぱい酒飲んで…ホントに辛かった。たった一人に嫌われただけなのに、どんなに辛い発作よりも苦しかった…頭の中、真っ白になって、生きる気力も何もなくなってた…」 突然アキラが言い出した言葉に驚く。 みずきが声をだす前に、アキラは続けて話だす。 「ケド、おまえはオレを拾ってくれただろ、それで、見放さないでくれた…ルードにも言われたけど、オレってワガママだからな…オレの言う事聞いてくれんの、みずきだけだし、本当に愛してくれてるかもしれないみずきを裏切れないだろ」 片手でみずきの髪を撫でながら伝える。 みずきは… 「『かも』じゃない、愛している。本当に…」 それだけしか言葉を返せない。 「うん…だからさ、生きぬいてみせる。オレの事、バカにした奴らみんな見返すぐらいの思いで、みずきは見守ってて欲しいんだ。オレがくじけないようにな、みずきが恐がってちゃ、出来ないコトだろ…これは」 みずきに微笑みながら伝える。 「…わかった」 アキラの手を握り深く頷く…。 (俺は馬鹿だ…つらさならアキラの方が何倍も上のはずなのに、支えるはずが、支えられる。いつも…) みずきは心で思い、キッと唇を噛み、しっかりしなくてはと、心をたたく。 すっと、抱きしめられているアキラがこちらへ向き… 「わりぃな、流れ止めちまって…」 みずきの身体に触れながら謝る。 「そんな事は、たいした事じゃない。それより…本当に大丈夫か?」 なおも、心配して問うみずき。 「みずき?」 「ん?」 「今度からさ、『大丈夫』じゃなくて『しっかりしろ』って、言ってくれよ」 「あぁ…しっかりしろ?」 アキラの言葉に語尾を少し疑問系で言ってみるみずき。 アキラは少し笑って… 「うん、しっかりする」 そう答え、みずきに軽くキスをして、みずきの身体を細い指で這わせ下の着衣をずらし脱がしていく。 そして、みずきのモノに唇をつけるように触れ、舌を絡めていくアキラ。 瞳を閉じ、細かく、みずきを刺激する。 「…ン、ハァ、ァ、ハッ」 アキラに慰められ身体が熱く、息遣いも激しくなる。 右手をアキラの髪に絡め、左手で首筋、背中に触れて快感を受入る。 相手がアキラだというだけで、興奮はさらに高まるみずき。 「ハァ、ハッん…アキラ」 みずきの色っぽい喜びの声を聞きながら奉仕に集中していたアキラ… 静かに唇を大きくなったみずきのそれからゆっくり離していく。 「…みずき」 みずきの反応を確認するように、胸にキスし、みずきの首に腕をかけ、誘うようにベッドに横になるアキラ。 みずきも促されるまま、アキラの元へ覆い被さる。 みずきは、やさしくアキラの身体を愛撫しながら、下半身へ触れて促していく。 色白い顔が、にわかに紅潮してその行為に身体がしびれる感覚になるアキラ。 快感を受け声に漏らす。 「は…ンんっ…ぁ、ン、アッ」 みずきはアキラをしっかり抱きしめたまま、うしろへ指を這わせ静かに中指から入れていく。 負担をかけないよう…少しずつ、やさしく、時間をかけてならして、数を増やしていく。 広げられる動きに…かすかに痛みが伴ってくるが、みずきの前への愛撫で、それも快感に溶ける。 「んっ、ぁッイ、ンッ…ハァ」 体中をかける感覚にもはや頭痛など気にならない。 不意にアキラの中へ入れていたみずきの手が抜ける。 そしてアキラの身体を横へ向ける。 「っ?」 一瞬、何かな? 思ったアキラだが、すぐに理解する。 (すげぇな…) あらためてみずきを見直す。 みずきは、受け手側が楽な体位にしてくれたのだ。 よく考えてくれる…。 心で思ってアキラは、みずきの意図を察し、身体を横にしたまま自分の腕に頭を預け足を前へと曲げる。 ソファでうつぶせに寝転んでいるような体勢だ。 みずきは、片腕で自分の重心を支え、斜め後ろからアキラを抱きすくめるようにもう一方の手で触っていく… 「ン…アリガト…ッ」 (…気ィつかってくれて…) アキラは快感を受けながら小さくお礼を言う。 「…ん、…アキラ、いい…?」 「フフッ…ウン…」 ここまで来ても許しをもらうみずきがおかしくて、微笑するアキラ。 なんともみずきらしい…。

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