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第31話
「おめーなぁ、虫取ってやったのに礼も言わねぇの、どうかと思うぜ!俺は!」
「ハイハイ、ありがとーござんしたっ!」
「ケッ!」
「礼言ったんだから文句ねぇだろ」
ヨシは気持ちがこもってねーだろっとブツくさ言っているが…
「さ、二人とも、帰ろう」
みずきが促してようやく帰りはじめる三人だった。
みずきを真ん中にして歩く三人。
「そうそう、みずき。どうする?遊びにいかねぇ?」
軽く聞いてみるヨシ。
「いや、俺はいい」
迷いなく即答する。
それを聞きあとの二人は……
『えーっなんで??』
声を合わせて言う。
「え、あぁ、もう遊ぶ年でもないし、時間がない」
二人に聞かれ驚きつつ答える。
「でも、そーないチャンスだぜ、行けよみずき!」
アキラが口を挟む。
「そーそー、せっかくタダなんだし!」
ヨシもはやし立てる。
「今、遊んでおかないと、年くったら遊べねーよ?」
さらにアキラが、言葉を出す。
二人のコトバ攻めにあい困ってしまうみずき。
「うーん、アキラが来るなら…行ってもいい…」
ぼそっと言葉にする。
「オレ?やったゼ!」
それを聞き、アキラは喜ぶが…
「なんでアキラが出てくるんだよ!!」
ヨシは憤慨する。
「いいじゃん、オレも連れて行ってくれよ、タダ券くれとまでは言わねーからさ」
「ま、いいケド」
みずきを誘うため仕方なさげに頷くヨシ。
「やった!じゃ、あと一人誰にやるんだ?タダ券」
「そうだなぁ?」
「そうだなーって決めてねぇのか?」
アキラはヨシの言葉に呆れる。
「べ、別にいいだろ!」
フンと言い返す。
アキラは、尋ねるようにヨシを見てこう切り出す。
「じゃぁ、さぁ。ルード、呼んでもいい?」
自分はルードに嫌われてるけど…
自分以外の人の誘いなら来てくれるんじゃないかと思って…
「え、アキラ…?」
アキラの言葉に反応するみずき、心配して名を呼ぶ。
「あぁ、いいぜ。久しぶりにルードに会ってみたいし!」
心配するみずきにかわり、事情を知らないヨシは調子よく答える。
「ふっ、びっくりするなよー、あいつかなり変わったから」
ヨシの言葉に普通に答えつつ、アキラはみずきの服を片手で引き、瞳を合わせ頷いて、同意を求めるように…
そして、謝るようなしぐさをする。
みずきの想いを知っていても…やっぱり好きな人に会いたいから…
ヨシは気付かず話し続ける…
「変わったって何だよ?」
「それは会ってからのお楽しみだぜ」
軽く笑う。
「なんだよー、みずきはルードに会ってる?」
話しをみずきに振るヨシ。
「いや、会ってない」
気遣うように答える。
「だよなー、どう変わったんだ?今、何年だっけ?」
ひとり詮索し続けるヨシ。
「今、中1だろ」
アキラが、ぽそっと言う。
「もー中学生かぁ、早いなぁ!」
頷きながら驚く。
「そうだな…オレも、もうすぐ卒業だぜ、高校」
アキラも、頷いて話す。
「は!知るか。それなら俺だって、来年で卒業予定だっ!!」
ふんっ!となりヨシは、張り合うように言葉を返す。
「T大生ねぇ…ヨシがなれるんなら、そう難しくねぇんだな」
軽く言うアキラだが…
「なっ!どう言う意味だよッ!俺だって入るまで死ぬ気で勉強したんだからなッ!」
それにはイラっとして怒るヨシ。
「はは、わりーわりー」
謝りながらみずきの影に隠れるアキラ。
「そーいえば、お前、大学どこ行くんだ?」
ヨシは気分を変えてアキラに聞く。
「オレ?大学いかねぇよ」
「えっ!なんで!?」
アキラを覗くように見るヨシ。
「オレは、大学なんか行かなくても、大学並の一般常識持ってるからいいんだよ!」
「なんだよ、それは俺に対するイヤミか!」
ムっとなり言い返す。
「別に、努力して入ったなら、それでいいじゃん。でも、どんなガッコ行っても大切なのは本人のキモチだろ、なー、みずき」
みずきの同意を求める様に、瞳を合わせる。
「あぁ、そうだな…」
そんな可愛いアキラを見て頷く。
「どうでもいいが、なんでオマエはそんなに、みずきにくっついてんだよ!うっとおしいなッ!」
アキラはみずきの片腕に軽くつかまりながら歩いている。
それが気にさわり怒りだすヨシ。
「あ?みずきにつかまってると温かいからなー」
軽く笑いながら言うアキラ。
「みずきも何か言えよっ!」
ヨシは怒りながらみずきにも言うが…
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