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第34話

「ふーん、お前はそれで、寂しいのを紛らわすためにみずきを利用してんだろーがっ!自分を可哀相に見せて同情ひいて、じゃねぇとみずきが動くハズねぇ!!」 カガッとしゃべりまくる。 「汚ねぇ奴!それでルードが戻って来たら、お前はみずきをジャマ者にするに違いねぇ!その顔でみずきを惑わしたんだッオマエはッ!!」 勢いで話し続けるヨシ。 アキラは、無視したいが、内容的にヨシの言う事が心をツラぬいていく。 顔を下へ向けて、歩き続けるアキラ。 「ルードに嫌われたからって、すぐみずきに乗り換えるなんか、どーかしてるぜッ!本当にみずきの気持ち考えてんのか!?サイテーだぜオマエ、みずきの人生潰してんだぞッ!ワカってんのかっ?」 それでも止まらず話続ける。 アキラは唇を噛み… 「わかってる、わかってんだよッそれでもッ、少しぐらい人に甘えて、愛されて生きたって…いいじゃな、いかッ…」 アキラの瞳から涙の雫がこぼれ落ちていく。 涙で声を詰まらせる。 (…イイワケナイダロ…オマエハ…) 心に反復して聞こえる声。 そんなアキラの様子を見て驚いてしまうヨシ。 「アキラ?」 すっと肩に触れようとしたが、アキラは避けながら。 「さわんなッ!帰れよッもォッ!」 涙を振りきるように早足で行こうとする。 それをさらに止めようとしたヨシだが、それを振り払うように不意にタッと駆けだすアキラ。 タイミングを外して2、3歩でて、手を伸ばしアキラの服を捕らえる。 それと同時に、アキラの両足にズキッと重い痛みがはしり、そのままガクッと体勢を崩す。 「ぁッ!痛ッ…」 「なッどうし…?」 いきなり倒れこまれて何事かと驚く。 「っく…そッ!」 苦し気に呼吸するアキラ。 (こんなちょっとの距離も走れないのか…オレはッ!) もう、走るための踏切でさえ足が麻痺してしまう自分… 後ろポケットに入れてある薬をサッと口へ流し込む。 「なんだよッどうしたんだ!?」 「ッお前は…帰れッ」 顔に一筋の汗を浮かべながら、道の端に足を抱えるようにして座り、痛みを堪えて言うアキラ。 「帰れったって…」 ヨシは、ぼう然と見ていることしかできない。 頭を下げて動かないアキラ… なにもできないまま、5分ほど経った頃… アキラのツっていた足も緩和してくる。 アキラは軽くマッサージをしながら立ち上がる。 「お、おい…」 困惑しつつ、低い声で、窺うように聞くが… まだ少し足をさすっているアキラ。 「はぁ、帰れっつってんだろ!何でついてきてんだよ!」 ぐいっと汗を拭い、いつもの調子で答える。 「なッてめーなぁ、急にコケやがって、俺のせいかと思ったんだよッ!!ボケッ!」 「オメーのせいだよバカッ!帰れっつてんのに何回言えば分かるんだ」 「な、なんだよッその言い方はッ!ムカツクなぁ!」 ヨシが言い返そうとしたその時、進行方向の路地から、不良グループか、若い男子5、6人がバイクに乗って飛びだしてきた。 アキラのすぐ横を囃し立てるように声を出し通り過ぎてゆく。 そして、一番最後の奴が何かを投げつけて来た。 反射的に、アキラをかばうヨシ。 「っ危ねぇんだよッ!…痛ッ」 そしらぬ顔で通り過ぎていく奴に、一声怒鳴るが… 左肩に刺すような痛みがはしり、その場所を手で押させるヨシ。 見ると、Tシャツが破れて、じわっと血が滲んで出てくる。 その事に気付き、アキラは… 「ちょっと見せてみろ、いいから!!」 ヨシは、なかば強引に腕を取られる。 「痛いなっ!触るなよッ!」 怒るヨシだが… 「これぐらい我慢しろッ」 逆に怒られる。 アキラは、やりにくい肩でも手際よく布で、直接圧迫止血する。 「……」 「原因はコレだな…」 アキラが拾い上げたものは茶色い古びた木片だった。 「かぁーっ!危ねぇなアイツらッ!なんでこんなモン!?」 「さぁ?ちょっとお前、うち寄って帰れよ。トゲが刺さってる、取って消毒してやるから」 「べ、別にいらねぇよ」 有無をいわせぬ口調で言うアキラに反発し言うヨシ。 「あっそ、いーんなら、無理には言わねーケド」 どーでもいいように言われてヨシはムッとなって言い返す。 「ならしろよ!手当っ」 「ふ、」 その様子に、アキラは軽く笑い歩きだす。 家の裏口の門まで来て… 「向こうむいてな!」 ヨシに言うアキラ。 「なんで?」 「お前にセキュリティナンバー教えるワケにはいかないからな」 ヨシの問いに、もっともな説明をする。

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