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第46話

薬を使っている者らしく、細い体つきをしている。 みずきにも、会釈してアキラについていくマサキ。 みずきも一応、会釈をかえして、二人を見とどける。 カフェに入って、席につく二人。 「さ、何がいい?」 さっそく話かけるアキラ。 「えーと…僕は、ホットミルクでいいです」 「ミルク?変わってるなぁ…マサキって、じゃオレも同じのでいいや」 オーダーを終えて、また笑顔で話す。 「牛乳、好きなんです」 「どーでもイイけど、なんで敬語なんだ?」 「あ、いえ」 「どー見たって年下だぜ、18だもんよー」 首をかしげながら聞くアキラ。 マサキは… 「えっ18才なんですか?」 純粋に驚いている。 「そうだぜ、いくつに見えた?」 「え、ハタチくらい…」 「へー、フケて見られたのは初めてだぜ」 マサキの答えに少し嬉しそうに笑うアキラ。 「そうですか…」 「…また」 「…あ」 どうしても敬語になってしまうマサキ。 「ふつーに話せばいいからな!」 「はい、わかりまし…あ、わかった!」 慌てて言い直すマサキ。 それが可笑しくて笑ってしまう。 「反応おもしれぇな、マサキって…」 なんとなくみずきに反応が似てる… などと思ってしまうアキラ。 「そ、そうかな?」 照れたように頭を掻きながら、答えるマサキ。 「うん、今日はどっか行ってたのか?」 頷き、また質問するアキラ。 「そう、ちょうど病院帰りで、定期診断と薬が残り少なくなったから、もらいに行ってた帰りで…」 「ふーん、で、どうしてあんな所でマヒ起こしてたんだ?」 相槌を返しながらまた聞く。 「あ、それは、そこの長い信号で赤にかわりそうになって、少しくらいと思って走って来たら、あんの上…」 そう苦笑いをする。 「そっか、オレもあるよ、少しくらいならってね、でも結局ダメなんだよな」 クスッと笑う。 「そうそう、ほんの数メートルくらいなのにね」 「しかたねーよ、オマエなんの薬使ってんだ?」 「えっ?」 「何種類?」 「えーと、今使ってるのは、筋弛緩系…4つと、全部で、9種類かな…」 指折り数えながら言うマサキ。 「げっ、そんなに飲んでるのかぁ?」 驚くアキラ。 「はい、先生が出してくださるんで」 不思議そうに答えている。 「5種類で充分なはずだろ?…チッ親父のヤツ、同じ効力の薬出して、金儲けしてるな…」 それがあの病院全体の方針だから仕方ないけど… そう少し、苦々しく顔をしかめるアキラを見てマサキは… 「嫌いなんですか?お父さんの事…」 「ま、な。医者の技術は一流だけど、親にしちゃ最悪だからな。ま、オレがこんな病気持って生まれなきゃ、少しは違ったふうに見えたかもしれないケドな」 「…そうなんだ。え、アキラさん生まれつき?後天性じゃなくて?」 はっとして聞くマサキ。 「そ、先天性。オレ、症例の少ない方の筋神経マヒのB-2:XX型だから。マサキは、A型だろ?進行はしないけどマヒと一生付き合わなきゃならないなんてツライな」 自分のことよりマサキの心配をするアキラ。 「B型って進行性の!?」 少しショックな顔を見せるマサキ。 「そ、だから、オレの場合は治る可能性もないし、死を待つだけって感じだな…」 落ちてきた横髪を左耳にかけながら、ふっと笑うように言う。 それを聞き、マサキはアキラに… 「そんなコトない!ハナっから諦めとったら何もできんやろ!諦めたらダメやッ!!」 「!?」 急に勢いよく話だしたマサキを見てびっくりするアキラ。 マサキもハッとなって… 「あ、ごっすみません…つい」 あたふたと答えている。 「びっくりした…でも、そう言うふうに言ってくれると嬉しいぜ、それにしても、マサキは関西出身なのか?」 「あ、はい…そうです」 また敬語に逆戻りのマサキ。 「そう。あ、関西弁でしゃべってよ、聞き心地イイからさ、こっちに何しに来たんだ?」 アキラの言葉に頷きながら… 「はい、一応ここの専門学校に入るためと…ウチ貧乏やったから自分いると医療費やなんかで金かかってしまうやろ、せやから、自分の事くらい自分で面倒みな思うて一人上京したんや」 「へぇ…すげえな、家の人は?」 「両親は、天災で数年前に他界して…兄弟は下に弟2人と妹4人いるんやけど、今は国の保護受けて生活してる」 「悪ィ…聞いちゃいけなかったか?」 軽く頭をさげるアキラ。

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