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第48話
「あっ関西弁使えよー!うーん…切ってもイイんだけど、ここまで伸びたらもったいねーし、記念にもなるしな」
本当の理由は父親にそっくりになるのが嫌だからだけど…
結んである髪を触りながら、答える。
「記念…?」
不思議そうに聞くマサキ。
「そっ、オレが死ぬ前にこの髪使って人形でも作ってもらおうかってな、記念になるだろ?」
生きてた記念…
冗談を言うように軽く言うアキラ。
マサキは、少し顔をしかめて…
「うーん、そうなんや…でも、今から死ぬ時のコトなんて考えんほうがええで、生きとんやから、生きてできるコト考えな、な?」
やさしく笑いかけて言うマサキ。
「ウン、そ、だな。でも、出来るコトもかぎられてくるからなぁ」
軽く頷くアキラ。
「それ、探すんも、楽しーやん、宝さがしみたいで、見つけた時、きっと嬉しーで?」
本当に楽しそうに話すマサキをみて…
「楽しそうだな…」
アキラは心から思い素直に呟く。
「せっかく今、生きとんやから、楽しまな、悲しいコトの分、楽しいコトもあるんやから」
頷きながら言うマサキ。
「そ、かな?」
微妙に首をかしげる。
「そうやで!」
マサキは元気づけるようにまた頷く。
「マサキってすげーな、オレ情けなくなってくるぜ」
苦笑いのアキラ。
「そんなコトあらへんで、みんなそれぞれ違う道歩いとる。それ信じたらええ!他のモンと比べてばかりは、よーないんやから。『自分の前に道は用意されてない、自分で歩いて作るんや』誰かのうけうりやけどな!」
にこにこ笑って、元気よく話すマサキを、微笑して聞いている。
「おまえって、今どき珍しい前向きなヤツな」
アキラが言うと、マサキは嬉しそうに。
「そうやね…」
笑って言う。
「自分でみとめるかぁ?」
クスクス笑いだす二人。
マサキがハッと気付いて…
「あ、もう5時になるで?みずきさんトコ行かな!」
「あ、そうか。じゃコレおごってやるよ」
会計伝票を取り、軽く言うアキラ。
「ええよ、ワイが払ろーたる!お礼やから」
「いいよ、礼なら別のものがいいな、そーだなぁ…オレと友達になってよ」
笑いながらそう切り出すアキラ。
マサキはかなり驚く。
「えぇっ!そんなコトでいいんですか!?」
また敬語になるマサキ。
「あ、あと、オレの前では関西弁な!ハイ、オレの携帯ナンバーとアドレス。住所教えるから遊びに来いよ」
そう続けて…
「みずきも来てるかもしれねーケド、あいつ元々無愛想だからな、それと、結構、過保護だから、病気のせいもあるけど、オレこーゆう顔だからヘンな男とか寄ってくるんだ、ちょっと監視の目がキツくなってるいだけだから許してやってな、心配性だから」
アキラらしくマイペースに説明して、同じ症状の病を持つ青年に、友達になってもらう。
お互い病の情報交換もできるし…なにより、少し話してもわかる、マサキは悪い奴じゃないから…
マサキは友達のままでいてくれそうだし…
ポツリと思いながら…
「あ、そうなんやな」
そんなアキラに驚きながらも、思いがけずアキラと友達になれたことを喜ぶマサキ。
「じゃ、またな」
「あ、ハイ」
マサキに別れを言って料金を払い、みずきの待つコンビニへと戻るアキラ。
みずきは心配していたが、いいやつだということを伝えて安心させる。
本当は、友人だと言われても心配だったが、それ以上アキラに意見はできないので納得するしかないみずきだった。
《新たな出会い》終
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